糖こそ、動物にとって最重要の栄養素であることは、血糖値(60~110mg/dlが正常)が低くなり、動悸、手足のふるえ、冷や汗、意識障害を起こす「低血糖発作」は存在しても「低脂肪発作」や「低たんぱく発作」が存在しないことからも首肯できる。

 血糖値が低くなると、脳の空腹中枢が空腹を感じ、食べて血糖値が上昇すると満腹中枢が満腹を感じる如く、生きる為に最も大切な「食欲」を調節しているのも糖なのである。

 糖は生命にとって最重要物質であり、しかも、とても美味であることからこそ、誰もが食べ過ぎる傾向がある。血液中の余分な糖分は中性脂肪に変わり、高脂血症、脂肪肝、動脈硬化、高血圧、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞)の一大要因になり、また、高血糖や高脂血症は免疫力を低下させ、ガンなどあらゆる病気の下地を作る。

 よって、糖に罪があるのではなく、問題は食べ過ぎにあるわけだ。

「砂糖食いの若死」という諺は、大阪の儒学者、中井履軒(1732~1817)が記した「文禄以後短命に終る者の多くなったのは、正しく砂糖輸入のためである。…薬としてならばいざ知らず、一般に砂糖を用ふれば有害恐るべし」あたりに由来しているようだ。

 しかし、奄美大島、屋久島、種子島に長寿の人が多いのは、温暖な気候、愛飲される焼酎と並んで、黒砂糖をお茶受けにする習慣にあると私は確信している。

 黒砂糖には、糖分の他に精製した白砂糖に比べ、人間の健康に必須な微量栄養素であるビタミン約30種、ミネラル約100種がほとんど含まれている。

 2020年2月23日、当時男性長寿世界一だった新潟県の渡辺智哲さんが112歳で亡くなられた。渡辺さんの好物の1つが、黒砂糖だった由。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は生島ヒロシ氏との共著「70代現役!『食べ方』に秘密あり」(青春出版社)。