【ココロとカラダのニンゲン行動学】最近、体の五感で感じることと心との関係についての研究が盛んだ。そういう過程で、独創性を発揮するためにこんな簡単な方法があることが分かった。
2012年のこと、米国・タフツ大学のM・L・スレピアン氏らは、こんな実験を行った。
この大学の学生30人(うち女子は19人)を2つのグループに分ける。
一つは滑らかにカーブする線をトレースする。
もう一つは直線をトレースするのだが、前者のカーブを直線に置き換えたもので、カクカクとした曲がり方をする。トレースは3回連続して行わせる。
その後に、新聞紙の独創的な使い方を1分間にいくつ思いつくかの競争をさせた。
すると前者のグループでは平均7・5個、後者のグループでは平均5・7個のアイデアが提出された。
前者のほうがたくさん思いつくのだ。ただし、後者であっても1分間に5~6個思いつくとは、さすがは若い学生ならではと思う。
ちなみに最も独創性がなかったのは“ただのくず紙”というアイデアで、そんなの誰だって実行しているでしょ、というもの。
逆に最も独創性があったのは、ブラックアウトポエムなるもので、新聞紙に特定の単語を残し、あとを黒塗りすると、詩が浮かび上がるというものだ。とはいえ、ブラックアウトポエムは既に確立された分野でもあるので、そんなに独創的とも言えないかもしれないが。
では、なぜカーブをトレースすると、より独創性が発揮され、カクカクと曲がる直線をトレースするとあまり発揮されないのか? この点についてスレピアン氏らはこう説明している。
前者の動きは周囲が安全であることを意味する。だから大いに独創性を発揮しても大丈夫。しかし、後者の動きは周囲が危険であるという信号になっている。そんなときに独創性などを発揮していては危険にさらされるだろう。よってあまり独創性は発揮すべきではないのだ。
また、独創性の発揮には、机にへばりつくよりも、部屋を歩き回るなど、体を動かすことが効果的であると分かっている。いろいろと試してみてはいかがでしょう?
☆竹内久美子(たけうち・くみこ)京都大学理学部卒業後、同大学院で日高敏隆氏のもと、動物行動学を学びエッセイストに。「そんなバカな! 遺伝子と神について」(文春文庫、及び電子書籍)で講談社出版文化賞科学出版賞受賞。最新刊「フレディ・マーキュリーの恋 性と心のパラドックス」(文春新書)が発売中。












