ボクシングWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(28=大橋)は2年ぶりの国内試合となった12月の防衛戦(東京・両国国技館)でアラン・ディパエン(タイ)を8ラウンド(R)TKOで粉砕した。改めて実力を見せつけ、4団体統一へ羽ばたこうとする〝モンスター〟と親交が深い東京五輪柔道男子60キロ級金メダルの高藤直寿(28=パーク24)がその魅力を語った。

 ――金メダルを獲得したとき、井上からは

 高藤 リオ五輪後から連絡を取り合うようになった。「本当に刺激になったよ。負けたくなかったから頑張った」と伝えたら「おめでとう。この5年は俺はうまくいきすぎた」と言っていた。

 ――金メダルの雄姿をしっかり見ていた

 高藤 彼の駆け上がっていく姿を見て少しでも近づこうと思えた。友人として気遣いできるのが井上選手の人柄だと思うし、ちゃんと見てくれたんだと思った。リオの時はまだ会う前だったので。

 ――それ以降は連絡は

 高藤 五輪が終わって、落ち着いたら飯いこうと話していたけど、新型コロナウイルス禍もあった。少しずつ明けてきたけど、彼も試合が決まったというのがあったので、なかなか。

 ――食事ではどんな話をするのか

 高藤 自分の出身校(神奈川・東海大相模高)と、井上選手の実家(神奈川・座間市)が近いから、地元トークをしますよ。「昔あそこのココイチいったよ」とか。深い話はしないですよね。初めのころは減量の方法とか話したけど。本当に話しやすくて、気さくで裏表がなく感じる。メディアで見てもそうですし、実際話しても、すごく完璧だなと思いますよ。

 ――2017年6月には合同練習もやった。柔道に生かせるのか

 高藤 試合の中でリズムを変えるとき、井上選手とやった時のフットワークの感覚は大切になった。僕は試合の流れを変えるときは、わざとフットワーク使ってやる。相手は怖くなるので、そういう部分も生きましたね。

 ――効果を実感

 高藤 それを要所で入れるという部分で役に立ったし、そこまで考えている時は僕も冷静でいられていることもある。ボクシングから取り入れた技術を使うことによって、冷静になれると思います。

 ――それ以降は一緒に練習は  

 高藤 柔道でやろうと言っても「柔道はいい」と断られました。ケガさせたら大変ですからね。

 ――友人から見た井上の魅力とは

 高藤 プロ意識を見習った。何事にも一番になるというところを持ち続けて、試合前も減量のスイッチ入れるときはしっかり入れられると言っていたんで。プロで、ボクシングで生きているんだなと感じた。一緒にいると僕も柔道で生きていかないと、と感じた。お手本になるようなアスリートですね。

 ――井上は4団体統一が目標だ

 高藤 井上選手は確実にそれをできる力があると思う。ただ試合をやれるか、やれないかはあると思うんですが、彼にしかできないことだと思うし、それを絶対かなえてほしい。僕は一ファンとしてその最強の称号を見たい。いつまでも最強の井上尚弥でいてほしいという期待がある。だからパンチをもらうところは見たくないですね。

 ――自身もパリ五輪でのメダルを目指す

 高藤(統一したら)もう会ってくれないかもしれないですね(笑い)。僕も柔道で頑張ってレジェンドになって、競技は違うが、一緒にレジェンドになれたら、出会いは運命だったと思える。本当に刺激になっているので、僕も刺激を与えられる存在になりたい。彼はアスリートが憧れるアスリート。みんな応援しているし、頑張ってほしいと思います。