数々の五輪メダリストを輩出した柔道私塾「講道学舎」(東京・世田谷区)の閉塾式が7日、行われた。

 講道学舎は1964年東京五輪柔道男子無差別級でアントン・ヘーシンク(オランダ=故人)に金メダルを奪われたことに危機感を覚えた故横地治男理事長が中心となり、75年に設立された。全寮制の道場で248畳になる柔道場、トレーニングルーム、食堂などを完備。全国から有望な生徒を集め、弦巻中と世田谷学園高(現在は日本学園)に通わせながら、世界に羽ばたく柔道人の育成に励んだ。

 40年前から指導にあたった大澤慶己十段(89)や学舎初の世界王者でバルセロナ五輪金メダリストの“平成の三四郎”古賀稔彦氏(47=6期生)、吉田秀彦氏(45=8期生)、世界選手権3連覇の海老沼匡(25=28期生、パーク24)、さらにはIGFの売名王・澤田敦士(31=22期生)まで約100人のOB・関係者が出席した。

 閉塾式に先立ち、修行証書授与式が行われ、最後の卒業生となった坂東篤(18=日本学園)は「(中山恵美子)会長が講道学舎を必死に守ってくれたおかげで安心して生活できました。日本一にはなれませんでしたけど、それ以上のことを講道学舎では学ぶことができました」とあいさつした。

 閉塾式では卒業生が思いを語った。古賀氏は「講道学舎はいつもあるものだと思っていました。しかし、実際は閉塾してしまいます」と話すと、涙をこらえることができず、目頭を押さえた。また吉田氏は「毎日2個上の古賀先輩にボロ雑巾のように投げられた。私にとって講道学舎は柔道の原点だと思っている」と感謝を表した。

 海老沼は「講道学舎で学んだことを生かして、オリンピックで金メダルを取ることを目指して頑張っていきます」とリオ五輪での金メダル獲得で恩返しすることを誓った。卒業生を代表し、古賀氏から花束と記念品が“名物ママ”の中山会長(72)、寮母さんに手渡された。

 柔道の総本山「講道館」に由来し「講道館でできない機能を新しい柔道塾で担ってほしい」との願いが込められた講道学舎の閉塾で、柔道界は一つの大きな歴史を終えた。