正真正銘の「モンスター」ということか。9月30日(日本時間1日)にドジャー・スタジアムで行われたワイルドカードシリーズ(WCS)第1戦はドジャースがレッズに10―5で先勝。大谷翔平投手(31)が放った1試合2本塁打は対戦相手の地元シンシナティに「ナイトメア(悪夢)」を刻み込んだようだ。米スポーツ専門局「ESPN」はレッズ関係者が大谷を伝説の怪物「ブギーマン」と評して恐れおののく様子を伝え、その強烈過ぎる存在感を浮き彫りにした。
大谷が度肝を抜く、2発でレッズの心を折った。初回の先頭打席で相手先発・グリーンが投じた161キロ超えの4球目を右翼席へ弾丸ライナーで先制ソロ。さらに6回二死一塁の第3打席でも相手3番手・フィリップスの内角真ん中に入った甘い変化球を捉え、右中間スタンドへダメ押しの2ランをたたき込んだ。試合は10―5でドジャースが快勝し、地区シリーズ進出へ王手をかけたが、その余韻はスコア以上に重かった。
米スポーツ専門局「ESPN」が同日深夜に放送した番組「Sports Center」では、アンカーがこのように強調した。「ビッグホームラン2本を放った大谷の爆発力はシンシナティに強烈なインパクトとダメージを与えた。レッズの関係者たちは『大谷はまさにモンスター』、『我々にとって彼はブギーマンのようだ』などと口にし、意気消沈していた」。圧倒的な存在感が、敵軍の士気を根こそぎ奪ったのだ。
ちなみに「ブギーマン」とは、米国を含め主に欧米諸国で長年にわたり子供たちに恐れられてきた〝正体不明の怪物〟の代名詞。伝説上のUMA(未確認生物)とも評すべきキャラクターだ。存在姿形は定かでないものの、闇の中から現れて悪さをする――。そんな恐怖の象徴的キャラに例えられた大谷は、もはや単なる強打者ではなく相手にとって「どうしようもない存在」と化している。つまり打席に立つだけで観客の期待をあおり、対戦する側から見れば自軍選手およびベンチ、自分たちを応援するファンの背筋をも一気にフリーズさせてしまう力を持つということだ。
また、この「ブギーマン」は世界最大のプロレス団体「WWE」でも2005年から09年にかけてマットに登場し、マーティー・ライトが扮する怪奇派ギミックレスラーとして一世を風靡。ベビーフェースとして人気を博したことから老若男女問わず、その名は全米に知れ渡っている。
前出の「ESPN」が同番組内でリポートしたところによれば、衝撃の先制ソロを被弾したレッズの若きエース・グリーンは「間違った球ではなかったのに、スタンドまで運ばれた」と首をかしげ、捕手のスティーブンソンも「彼が打席にいると息苦しい。どこに投げても正解がない」と大谷に白旗を揚げたという。さらにチーム幹部の1人は大谷について「彼はまるでブギーマン。気づけば背後に立っていて、全く逃げ場がない」とも語ったと同番組内で前出のESPNアンカーは伝えている。
この〝怪物〟ぶりはデータにも裏付けられている。大谷はポストシーズン初戦で2発を放ち、レギュラーシーズンで記録した自己最多を更新した55号と併せれば、事実上の56本目と57本目。言うまでもなく公式記録上ではリーグ2位のシーズン55本塁打で打ち止めだが、このままWCSを突破した場合に4日(同5日)から地区シリーズで対戦するフィリーズから見ても大谷の打棒爆発は脅威だろう。
しかもシーズン56発でリーグ本塁打王に輝いたフィリーズ主砲のシュワバーにとっても、WCS初戦で早速打ちまくった大谷の存在は大きなプレッシャーとなるはずだ。勝負どころで発揮される破壊力は数字以上の価値を持つ。ましてや短期決戦の舞台で浴びせられる一撃はレッズ、そして次に待ち構えるフィリーズの面々の心身を打ち砕く「精神的ダメージ」として積み重なる。今後は対戦相手の間に「ブギーマン・ショウヘイ」という新たな異名が広がるかもしれない。












