情熱ファイター激動の半生 山本美憂語ったマイファミリーの素顔 父、母、弟、妹…そして3人の愛する子供たち

2022年06月27日 16時00分

3人の子供たちと。左からミーアちゃん、愛犬のハリボー、美憂、アーセン、アーノンくん(東スポWeb)
3人の子供たちと。左からミーアちゃん、愛犬のハリボー、美憂、アーセン、アーノンくん(東スポWeb)

【新連載・山本美憂もうひと息!(1)】総合格闘家・山本美憂(47)が半生を振り返る新連載「もう一息!」がスタートする。レスリング一家に生まれ、女子草創期にヒロインとして活躍。世界女王にも輝いた。現在は総合格闘技(MMA)で若手に負けぬ存在感を発揮している。14歳年下の総合格闘家カイル・アグォン(米国)の妻であり、3人の子供の母でもある情熱のファイターだ。波瀾万丈ながら家族愛にあふれる美憂の心温まるストーリー。第1回は“山本ファミリー”の素顔をお届けする。

 山本美憂です。今は総合格闘家として活動してますが、人生の半分はレスラーとして生きてきました。このたび、東京スポーツさんで連載がスタートします。まず、レスリングを始めたきっかけや、家族について触れたいと思います。

 私は父・山本郁榮の影響で小2からレスリングを始めました。父は1972年ミュンヘン五輪レスリンググレコローマン57キロ級の代表。小さいころ、いつも見せられていたのは、父が不可解な判定で勝ち進めなかった新聞記事でした。納得がいかず、マットから下りずに泣いている父の写真がありました。

 記事を見て「こんなことってあるのか」と心底悔しかった。その思いは次第に「父親を五輪に連れていき、五輪をいい思い出にしてあげたい」という気持ちに変わりました。でも当時、女子は五輪種目ではなかった。私は夢を追いかけ何度も挑戦することになるのです。

 母(※1)は、どこまでも家族のために尽くす人でした。私、弟のノリ(※2)、妹の聖子(※3)がレスリングを始めたことで、週末は家族で動いていました。母もレフェリーの資格を取り、大会に参加するようになりました。

 家族はいつも一緒でした。子供のころのノリはおとなしくて、黙々と好きなことをするタイプ。一方ですごく姉の私に甘えてくれるところもありました。渋谷に一緒に買い物に行ったり、部屋で音楽を聴いたり。高校に入っても、ノリは自分の部屋ではなく、ずっと私の部屋にいた。ケンカもしましたが、仲が良かったんです。

 6歳年が離れている聖子はママっ子。私やノリは高校から米国に行ってしまったけど、聖子は留学しないで、ずっと母のそばにいました。今は米国にいて暮らす環境が違うけれど、聖子は家族のために頑張っています。
 私には3人の子供がいます。長男はアーセン。MMAの選手で、コーチでもあります。すごく情に厚く、怒るも笑うも泣くも感情が豊か。指導力が上がっていて、MMAやレスリングの分析力がすごい。頼りになります。

 次男のアーノンはマイペースで自分の世界を持った子です。ノリに似ているかな。ノリはいつも「アーノンには怒りすぎないで。自由にさせてあげて」と言っていました。私も父もノリも、山本家のなかでアーノンが一番運動神経がいいと思ってます。体が柔らかく、バネもバランス感覚も抜群。今は野球を頑張っています。

 末っ子のミーアは優しい。甘えん坊な次男がいるので「私がやってあげないと」という感じで、お母さんみたいです。小学生のころから料理も作ってくれていました。ミーアはゴルフに挑戦しています。そして夫のカイル。総合格闘家で私の精神的な支えになっています。2018年、闘病中だったノリの治療で私も一緒にグアムに移った時に知り合いました。元レスラーです。カイルと私は「RIZIN.36」(7月2日、沖縄アリーナ)に参戦。初の2人そろっての勝利を目指しています。

 連載タイトルの「もう一息!」は、ずっと昔に何かのテレビ番組に出た時、習字の先生が私に書いてくれた言葉です。「つらくても、もう一歩前に出て。見えるはずの光景が見えないのは残念だから、もう一息頑張ろう」と。また「その瞬間を自分のものに」はカナダで教わったフィジカルコーチの言葉です。どちらも私の心に強く残っています。

 家族がいてこそ、今の自分がある。家族の愛なしでは頑張れなかったかもしれません。そんな私の話を次回から詳しくお伝えしたいと思います。

 ※1 憲子さん(故人)

 ※2 総合格闘家の山本“KID”徳郁さん。レスリングで全日本2位、学生2冠王者の成績を残し、2001年にMMA転向。「HERO’S」「K―1 Dynamite!!」などで活躍し、格闘技の「神の子」としてカリスマ的な人気を誇った。胃がんを患い闘病の末、18年9月に41歳で死去

 ※3 元レスリング世界王者。夫は米大リーグ・パドレスのダルビッシュ有投手

 ☆やまもと・みゆう 1974年8月4日生まれ。神奈川県出身。72年ミュンヘン五輪代表の父・郁榮氏の影響で小2からレスリングを始める。87年に中1で女子初の全日本選手権を制覇(44キロ級)し、47キロ級も含め5連覇。同選手権では計8度の優勝を誇る。91年、年齢制限のある世界選手権に特例で出場し史上最年少の17歳で優勝。94、95年も世界を制した。2016年にMMAに転向し「RIZIN」で女子格闘技をけん引。3人の子を持つ母。156センチ。

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