国民的スターとの共通点は――。カーリングの北京五輪切符をかけた世界最終予選の女子プレーオフ(17日、オランダ・レーワルデン)で、女子日本代表で平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレ(LS)が8―5で平昌五輪銀メダルの韓国に勝利。2大会連続の五輪出場を決めた。

 LSらしさが導いた勝利だった。平昌五輪後はカー娘フィーバーで注目を浴びた一方で「カッコつけてたな」と全員が無意識のうちに見えを張るようになった。我に返ったのは9月の日本代表決定戦だ。北海道銀行に連敗を喫して崖っぷちに立たされた中で、セカンドの鈴木夕湖が「喜怒哀楽の全ての感情を100%出すのがウチらしさ。(石を)投げながら泣いてもいい」と振り返るように、持ち味だった泥くささを思い出したという。

 ここから何気ないプレーも全力で褒め、ミスした選手は全力で慰めるようになった。1998年長野五輪女子代表の大沢明美氏も「9月の試合で今まで開けたことのない引き出しを開けた。日本のチームの中でそれができるのは、LSしかいない」と舌を巻くほどの変貌を遂げた。

 今大会でもスキップの藤沢五月が好ショットを披露すると、サードの吉田知那美が「ナイスショット」と盛り立て、韓国戦後も4人で輪になり「やったー」と満面の笑みで喜びを分かち合った。藤沢は「五輪っていう舞台でも自分たちのパフォーマンスを出して、自分たちらしい試合をすることが一番。その場を楽しんで最高のパフォーマンスをすることが今後の課題」。平昌超えの期待がかかる北京本番でも喜怒哀楽を惜しみなく出すLSの〝らしさ〟がカギを握りそうだ。

 くしくも米大リーグで二刀流としてア・リーグMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平投手も今季は随所に自身の感情を出すようになり、ジョー・マドン監督も大谷の変化を絶賛。ともに世界の強者相手に結果を残した。この素直さがまさに一流アスリートの証しと言えそうだ。