決して先行きが明るいとは言えない。東京五輪・パラリンピック組織委員会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に延期された東京パラリンピックの新たな競技日程を発表。中村英正ゲームズデリバリーオフィサー(GDO)は「アスリートにとって競技スケジュールが固まるのは大きなステップ」と語ったが、まだまだ課題は山積みだ。

 一番の難題は感染症対策だ。障がい者が新型コロナウイルスに感染した場合は、重症化のリスクが高いと言われている。実際に、脳性まひや頸髄を損傷している人は、健常者より呼吸機能が弱いことも多い。パラ団体の関係者によると「病気にかかりやすいので注意しないといけない」と神経をとがらせている選手もいるという。しかし、組織委員会側は「秋以降に検討する」との方針を示しており、いまだに具体策は決まっていない。

 クラス分け問題もクリアにする必要がある。パラスポーツでは、各競技の国際大会に出場して、クラス分け判定を受けた上で、障がいの程度に応じて振り分けられたクラスで選手が戦う。しかし、国際大会の実施メドは立っておらず、クラス分け判定を受けられない選手が出てくる可能性もある。パラ競技連盟の関係者は「救済措置があるかもしれないという話は耳にした」と話す一方で「実力が伸びている選手がいても、クラス分けで認定されていない場合は、大会に出られない可能性があるのでは」と不安も口にした。

 本番までは残り1年。無事に祭典を開催するには越えなければならない壁は多い。