北京五輪のマスコット「ビンドゥンドゥン」を巡る狂騒曲が思わぬ広がりを見せている。パンダを模した個性的な姿で人気に火がつき、現地では品切れが続くなど大フィーバー状態。さらに模造品が横行して逮捕者も続出するなど社会現象となっているが、今後はマスコットの枠を越えて国際問題にも〝影響〟を与える可能性まで出てきた。

 ビンドゥンドゥン関連商品は爆発的な売り上げを記録しており、関連企業の株価が軒並み上昇するなど経済界にもビッグウェーブが起きた。その恩恵に預かろうと、模造品も次から次へと出現している。各地で製造された「ビンドゥンドゥンケーキ」に対して中国当局は販売禁止を徹底。相次いで摘発しているが、他にも「金(ジン)ドゥンドゥン」などコピー商品が絶え間なく登場し、いたちごっことなっている。

 そうした中、北京五輪に出場している各国選手団の間でも話題が沸騰。韓国の放送局「SBS」は「雪で作られたビンドゥンドゥンが選手村でホットスポットになっている」と報道した。北京では13日に大雪が降ったが、韓国代表選手たちが選手村内の韓国棟前でビンドゥンドゥンを模した多くの雪だるまを制作。「その優れた完成度に、各国の選手たちや関係者たちの間で見逃せないフォトゾーンになっている。われわれ選手団の優れた〝実力〟だ」と胸を張るほどだ。

 その一方で中国当局は人気マスコットを国民からの支持率アップにも〝利用〟し始めた。中国紙「湖北デーリー」は「漢陽衛生労働省がランタンフェスティバル活動を開始し、〝ビンドゥンドゥン餃子〟を作っている」と報道。こうした商品は本来ならば摘発対象となるが、今回は武漢市の主催で商業目的ではないとして対象外に。今回のケースを皮切りに、中国政府が各地でその人気を利用した催し物を開催していく可能性もある。

 さらに国内だけでなく外交手段にも使う構えだ。中国メディア「網易」は「北京五輪の開催に伴い、ビンドゥンドゥンは最近、国内外の人々に愛されてトップストリームとなっている。反中に燃えるはずの米国の政治家やメディアでさえ、ビンドゥンドゥンから〝パンダ外交〟を想起して本気で飛びついている」と指摘。米中対立が深刻化する中で、かつて世界を席巻した中国政府による〝パンダ外交〟ならぬ〝ビンドゥンドゥン外交〟が今後展開されて関係改善の一助になるというわけだ。

 政治、経済、外交と〝活躍〟の場は広がるばかり。愛らしい外見と裏腹のさまざまなキナ臭い思惑も絡んでフィーバーは本来の目的とは違う方向に展開していきそうだ。