日本は2019年の木材自給率が37・8%で、世界有数の木材輸入国だ。そんな中、「ウッドショック」で木材が高騰し、住宅業界が悲鳴をあげている。

 米国ではコロナ禍の在宅勤務が普及したことにより郊外エリアでの住宅ニーズが増加。住宅ブームが起こって、木造住宅に欠かせない木材の需要が拡大し、日本への輸出価格も高騰。さらに米国では、歴史的な低水準の住宅ローン金利を背景に住宅市場が活況を呈している。

 米国の木材輸入業関係者は「アメリカの新築住宅着工はコロナ禍前に月間120万戸前後だったのが、2021年は150万~170万戸にまで増加すると見込まれているんです。アメリカの住宅ニーズの増加で日本への木材輸出量が減っている。結果、価格も高騰。しかも、コロナ禍の巣ごもり需要で、通販による海外の安い品物の輸入が活発となり、海上輸送コンテナ不足が拍車をかけた。木材が手に入らないという“ウッドショック”で住宅建築現場がストップしているんです」と明かす。

 米国同様、日本でもテレワークの長期化で郊外エリアでの一戸建ての需要が高まっている。

 日本の住宅建築会社は「減少した輸入木材の奪い合いで木材価格は高止まりして、先物価格は約1年間で6倍まで高騰している。中でも、日本の木造住宅の要になる柱や梁に使用される米国産の松製材が値上がりしているんです。木材としては、秋田県の有名ブランドの秋田杉などがありますが、国産材だと強度が出ないんです」と語る。

 しかも、輸入木材の調達が困難を極めていることから、各地で基礎工事だけ終え、建築休止している現場が多くなっているという。

 住宅アナリストは「ウッドショックが長引けば、住宅事業者の倒産は避けられない。日本の経済のダメージも大きいです」と話している。