新型コロナウイルスの感染拡大により、医療崩壊危機が叫ばれている一方、患者が集中すると思われていた地域密着型の民間病院や、街のかかりつけのクリニックの患者が半減して経営危機に追い込まれている。

 ある医療専門家は「コロナウイルスの感染者が途絶えないことから、地域に密着した民間の病院や街のクリニックに患者が押しかけていると思ったら反対で、患者は半分近くに減少。4月分の診療報酬が払われる6月には、運転資金がショートする病院やクリニックが続出しますよ」と語る。

 新型コロナの感染が拡大する中、民間病院を中心に構成する全日本病院協会(全日病)が「新型コロナウイルス以外の患者の減少などで病院の経営が厳しくなっている」との認識を示していた。

「3月末以降、多くの民間病院から外来患者や入院患者、それに救急患者が減少しているという報告が寄せられている。高齢者が外出を控えているためにケガのリスクが減っていることや、小中高校の臨時休校による外出自粛で子供たちが外であまり遊ばなくなったことでケガ人が減少。加えて院内感染を恐れて受診者が激減しているといわれてます」(全日病加盟病院関係者)

 東京・江戸川区の中核病院では、コロナ禍前は2~3時間待ちが当たり前だったが、コロナ感染拡大以降、ロビーはガラガラになっている。

「街のかかりつけのクリニックは、患者が激減して死活問題ですよ」と言うのは、都内の大きな団地内にあるクリニックの院長だ。

「開業医は儲かると思われてますが、東京の地価は高いから、自宅兼クリニックは難しい。賃貸開業が大半を占めている。全国一律で診療報酬は同じ点数で計算されますから、患者が来なければ収入は下がる。ところが、医師会から待合室は3密のリスクが高いから、患者を呼ばないようにと指導がある」

 全日病は厚労省に「病院経営を維持するための補助金や助成金が必要だ」と訴えている。

 厚労省の救済措置が急務だ。