タイが“猿の惑星”になっている! 観光客激減でエサ不足のサルの大群が狂暴化

2020年03月19日 16時00分

普段は人懐っこいサルたちだが…

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】新型コロナウイルス禍により観光客が激減した奈良公園では「鹿せんべい」をもらえなくなったシカたちがエサを求め公園を飛び出し、街なかの植え込みを食い荒らしている。かたや、タイ中部ロッブリーではサルの大群が狂暴化し、まるで“猿の惑星”状態だ。

 この街にあるクメール遺跡「プラ・プラーン・サーム・ヨート」の名物はいつの間にかすみついたサル。遺跡に群がる姿が“映える”と人気観光スポットになっている。

 遺跡公園やその周辺に約3000匹が生息。人慣れしており、近付いて写真を撮っても逃げない。むしろ抱きついてきたりエサをねだったりと“濃厚接触”できる。

 街はサル景気で潤っている。地元自治体では毎年11月に「モンキー・フェスティバル」を開催。遺跡周辺に好物の果物や菓子、ジュースなどをささげ、サルの肥満や生活習慣病につながると批判もあるが、観光の目玉として特に中国人に人気だ。

 ところが、今やロッブリーでも観光客が激減。人間からもらうエサで繁殖、維持されてきたサルの生態圏に異変が起きている。

 地元大衆紙「カオソッド」によると、飢えたサルたちは遺跡公園を離れ市街地へ乗り込み、地元民から食べ物や飲み物を略奪。人が身に着けている帽子やメガネ、ネックレスなども手当たり次第に奪い、やりたい放題なのだ。

 サルたちは3つの群れに分かれ、それぞれボスザルが統治しているが、10日には、なんとヤクルトの奪い合いからケンカに発展。群れ同士の大抗争になってしまった。

 地元民がフェイスブックに投稿した動画は衝撃だ。おびただしい数のサルたちが“暴徒化”し、行き交う車や歩行者などお構いなしに群れで衝突。食い物を巡ってギャ~ギャ~争う。まるで名作「猿の惑星」のワンシーンのよう。地元では「このままじゃ生活がままならない」という悲鳴も上がっているとか。

「タイは敬虔な仏教国だから、殺生はしない。どんな命も大切にするという考えから、野良犬も放置されている。サルも駆除されることはないが、エサの支援は絶対に必要。しかし、日本からタイに進出し、長く国民的ドリンクになっているヤクルトをサルが好むとは…」とは現地在住駐在員。

 ちなみにタイの観光当局は、年間約4000万人訪れていた観光客が今年はコロナ余波で1000万人ほど減少すると予測している。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。