中国にWショック。同国武漢で発生した新型コロナウイルスは中国政府の19日発表で、死者2004人、感染者も計7万4185人に増加した。感染の恐怖が世界中を震撼させるなか、今度はイナゴ(バッタ)の大群が押し寄せて大飢饉をもたらすとの情報が飛び出している。仰天の3600億匹のイナゴが、アフリカ東部から中東、インドを経て、中国に侵入する可能性があると国連の専門機関が警告したのだ。襲われた地域は壊滅的被害を受け、数千万人が飢饉など大災害の犠牲になるというから、未曽有の天災になりかねない。

 国連食糧農業機関(FAO)が、新型ウイルス感染の“震源地”となった中国当局者に、西部・新疆ウイグル自治区に、近くイナゴの大群が到達すると警告した。米CBSニュースが伝えた。これに対し、中国の当局者は「大群の足取りを追い、警戒しているので心配ない」と返答し「特に現在は冬季なのでイナゴは国境には到達しない」と続けたが…。

 FAOによると、中東での記録的な大雨と、2回のサイクロンがもたらした大雨により、イナゴの大群はオマーンの砂漠で大繁殖。これまでイエメン、イラン、パキスタン、インドなどで、すでにイナゴの甚大な被害が報告されている。特にアフリカ東部のエチオピアやケニア、ソマリアなどが大被害を被っており、深刻な食糧不足が心配されているという。

 この地域では、穀物などの作付けから収穫を今の時期から6月にかけて行う。だが、すでに約2000万人の住人が食糧不足に苦しみ、再びイナゴによる被害が襲いかかれば、ここ数十年間で最悪の大飢饉が発生する危機に直面しているとしている。

 さらに恐ろしいことに、FAOは同地域ではこの先、数週間ほど多くの降水が予想され、それによりイナゴの繁殖が加速度的に進んで大きく成長し、6月ごろまでには現在の約500倍に膨れ上がると推測している。今月生まれた幼虫が4月には3600億匹にまで膨れ上がる計算だという。

 その大群の勢力は幅60キロ以上にわたり、1日に150キロの長距離を“行軍”。巨大な黒い雲が空を覆いながら、農作物を食い尽くして移動するというから、その情景はまるでこの世の終わりのように、人々を震え上がらせるだろう。

 イナゴと中国といえば過去にも大規模な被害があった。同国では「蝗害(こうがい)」と呼ばれ、大天災として歴史にも数多く記録されている。中でも有名なものでは唐代の785年の蝗害で「夏にバッタが発生し、東は海から西は黄河の上流まで、10日以上にわたって群れが天を覆った。草木や家畜に群がり、死骸が道をふさいだ」と歴史書「旧唐書」に記されている。

 また、明代や清代にも度々農作物の壊滅的被害は起きている。最近では2005年に海南省を襲ったもので、同省ではこの年の稲が全滅した。

 日本で人気のシミュレーションゲーム「三国志」シリーズでもイナゴの発生が疫病や水害同様、国の盛衰に影響する重要な“イベント”として登場するほど、現実でも中国では深刻な災害とされている。

 FAOは現在のところ、イラン、パキスタン、インド、中国などの国では食糧不足は起きていないとみている。FAOによると、1平方キロ内のイナゴの群れには約4000万匹がおり、1日に3万5000人分の作物を食い尽くすというから、その数が3600億匹にもなれば、多くの地域で大飢饉が起きることは想像に難くない。

 新型コロナといい、人類は今、世界規模の大危機にさらされている。