プーケット最高の旅行シーズン突入も…知ってほしい子供の強制労働問題

2019年11月14日 16時00分

親の手伝いならいいが、不法に搾取されている子供も多い

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイ南部プーケットで10日、10~13歳の子供たちに強制労働させていた疑いで、タイ人の男4人が逮捕された。地元英字紙「プーケット・ニューズ」によると、子供たちはプーケット中心部の繁華街でココナツの売り子として働くよう強要され、1日400バーツ(約1430円)を上納するノルマを課されていた。

 ナタで切って開けた実にストローを挿し、中のジュースを飲んだり内側の果肉を削って食べるココナツは、南国スイーツの定番。1個40~50バーツ(約140~180円)と安く外国人観光客にも人気で、タイの観光地ならどこでも売っている。

 ただ人気リゾートのプーケットでは、ココナツ売りも過当競争。ノルマを達成するため10時間以上働かなくてはならないこともあり、子供たちは学校にも行かせてもらえなかった。粗末な身なりで殴られることもあったという。地元警察は「こうした子供たちから男たちは毎月、数十万バーツ搾取していたようだ」とみて捜査を進めている。

 プーケットでは先月25日にも、カンボジア人の女が人身売買容疑で逮捕された。地元マフィアと共謀し、カンボジア人の子供2人に対し、観光客に声を掛け、花やサングラスを売るのを強要していた疑い。朝8時から夜9時まで働かせ、一日の売り上げが2000バーツ(約7200円)に満たないときは暴力を振るうこともあったという。カンボジアの両親から子供たちを2万5000バーツ(約9万円)で買い取り、タイへ連れてきたとみられる。

 プーケットで最も外国人観光客が集まるパトンビーチでは、さまざまな物売りが行き来し、観光客に親しげに話し掛けてくる。そんな中に交じって、こうした不遇な子供たちが今もいるのだ。

「経済発展して豊かになってきたタイでもまだ、こんな話が時々ある。タイ労働省によると国内には外国人も含め40万人の児童労働者がいて、うち13万人は危険な物質を扱う工場や過酷な肉体労働、夜間労働などに従事している。違法に搾取されている子供、親に売られてきた子供、さらには性産業で働く子供も少なくない」と明かすのは、首都バンコク在住記者。

「特にプーケットはアジア屈指の巨大リゾートで、懐の緩む観光客相手の仕事がたくさんあって稼げる。一日の最低賃金がタイで最も高く、バンコクを上回る330バーツ(約1200円)に設定されている裕福な地域。当然、観光マネーを狙って悪質な業者も集まってくる」

 雨季が明け、乾季になる今月から年末年始にかけ、プーケットは年間を通して最高の旅行シーズンだ。地元警察は「もし違法な児童労働と思われる姿を見たら通報してほしい」と外国人観光客にも呼び掛けている。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。