ミャンマー船着き場の古典的詐欺 だまされまくりの日本人

2019年09月26日 16時00分

大使館が日本語で張り出した注意喚起ポスター

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ミャンマー最大都市ヤンゴンで、日本人が古典的詐欺に引っ掛かりまくっているという。

「『ガイドしてやろう』と声を掛けてきた自転車タクシーやバイクタクシーの運転手に付いていくと、後で法外な料金を請求される」(現地在住記者)

 ダウンタウンからヤンゴン川を挟んだ対岸に広がるダラ地区は、大都市から船で10分ほどの場所とは思えない、のどかな村の風景が広がる。ただ一部スラム街もあり、悪徳ドライバーは船着き場で外国人を待ち構え、ダラのローカルな場所を案内しようと持ち掛けてくる。アジア各地では昔からよくある詐欺手口だが、引っ掛かる日本人が後を絶たない。

「ミャンマーは穏やかなお国柄、人々はとても親日的で、これまで観光客狙いのボッタクリ被害などは少なかった。『親しげに声を掛けてくる地元民には要注意』というのが海外旅行の常識だが、ミャンマーではそこまで警戒する必要はなく、つい油断してしまう人が多い。また、こうした犯罪が多発するようになってまだ日が浅いため、ガイドブックなどでの周知も徹底していない」と前出記者。

 観光客ばかりか出張者や駐在員までだまされるというから、日本人はどれだけお気楽なのか。問題の船着き場は日本のODA(政府開発援助)が関係している。民主化後のミャンマー支援プロジェクトの一環で、日本は5年前、フェリー3隻を寄贈した。

「ダラ地区は、ヤンゴンに通勤通学する人々が多数暮らすベッドタウン。川を渡るフェリーは1日3万人が利用する貴重な交通手段だが、老朽化で浸水することもあった。そこで日本が、船の建造から港湾設備の整備まで請け負い、11億円あまりかけて新型船を就航させた」(前同)

 地元民の評判も良く、港や船に設置されたプロジェクトの記念プレートには「日本の人々から」という一文が記されている。そんな国際支援の現場を見に来たインフラ関係の日本人も、悪徳タクシーにとってはいいカモなのだ。

 船着き場の係員たちは、建設の経緯を知っているため日本人にはとても親切。別室でパスポートを見せると、日本人はタダでフェリーに乗れる。だが、その様子を見て日本人と察すると、悪徳ガイドたちは船内でもしつこく声を掛けてくる。そして誘いに乗るとスラムを案内され『貧しい人々のために米を買って寄付してほしい』などと迫られたり、最初に約束したガイド代の10倍以上を要求されるという。

 被害が多発しているため、在ミャンマー日本大使館が港やフェリー船内に日本語の注意喚起ポスターを張り出すという異例の事態に。2016年の民主化以降、ミャンマーを訪問する日本人は急増する一方だが、巻き込まれないよう注意したい。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。