現役国会議員に異例の嘆願だ。女性グループ「SPEED」元メンバーで自民党の今井絵理子参院議員(37)が、全日本プロレスで「ヨシタツキングダム」を率いるヨシタツ(44)の訪問を受け、ディーバ就任を迫られる事態が起きた。17日「HEAT―UP」神奈川・とどろきアリーナ大会での長男・今井礼夢(16)の試合を前に、理不尽な要求を突き付けられた形だ。我が子を思う今井氏は、このぶしつけな要求をむげにもできず――。

 今井氏の知らぬところでディーバ就任の話が持ち上がったのは、7月のカード発表会見だった。礼夢たっての希望で一騎打ちが決まったヨシタツは「俺が勝ったら、今井絵理子さんをヨシタツキングダムのディーバにさせてもらう!」と言い出したのだ。

 将来的な目標とする、世界最大プロレス団体「WWE」(米国)に参戦経験があるヨシタツにこう言われた礼夢はこれを受け入れた。さらに純粋にも「自分が勝ったらヨシタツキングダムに入れてほしい。そしてアメリカに連れて行ってほしい」と返してしまった。

 会見の模様を伝える報道を見た今井氏は自身のツイッターで「息子よ…何がなんでも勝ってくれ!」と反応したが、話はこれで終わらなかった。「言っても礼夢君は未成年だし、ディーバになるのは今井議員自身だから」と妙に律義なことを言い出したヨシタツから、突然の訪問を受けたのだ。一度は空振りに終わっていたが、この日はわざわざ秘書の連絡先を調べしっかりアポイントを取る念の入れようだ。

 東京・永田町の参議院議員会館で訪問を受けた今井氏は「ヨシタツキングダムとは…」と説明を受けると「なるほど、ユニットではなく国。つまりヨシタツさんは総理大臣ってことですね」と優しく理解を示す。

 そして本題の要請を受けるや「ディーバ?」と首をかしげた。これについてヨシタツから「ディーバっていうのはプロレスもセコンドも歌もダンスやマイクパフォーマンスもして…」と説明を受けた上で「コギャル+ロード・ウォリアーズ」がテーマだというコスチュームのデッサン画を見せられた。

 すると今井氏は「これはヤバいですね…。後ろスケスケ…? ワオ…」と頭を抱えた。当然こんな無謀すぎる要求は即却下…かと思いきや、ヨシタツキングダム入りを目指す息子がこれに同意し、SPEEDのメモリアルブックに〝調印〟まで行っているだけになおざりにできない。

「ちょっと検討させていただいてもよろしいでしょうか。試合当日まで考えさせてください」と回答。メモリアルブックに「保留」とサインし、ヨシタツを丁重に送り出した。

 面会後、今井氏は「世界で活躍されているヨシタツ選手と対戦することで、息子も得られるものが大きいんじゃないかと思います。息子もアメリカに行くことが夢の一つなので」とこの抗争を経ての成長に期待を寄せる。

 一方でディーバ就任については「息子にはしっかりと勝ってもらいたい」と苦笑いしつつ「親としては大きなケガなくここまで来れて、ホッとしてはいます。息子には、周りの方々のご協力とご理解があってリングに立たせてもらっているので、応援してくださる皆さんに感謝の気持ちを忘れずにこれからもリングの上で輝き続けてほしいと思います」と話した。

 母の気持ちは通じるか。それとも前代未聞の現役議員ディーバが誕生してしまうのか。その行く末が注目だ。