吉村府知事〝インサイダー騒動〟 関連銘柄の株価上昇で風説の流布、株価操縦に当たる可能性も

2020年08月12日 11時00分

インサイダー疑惑について否定した吉村府知事(顔写真はテリー伊藤氏)

 大阪府の吉村洋文知事(45)が新型コロナウイルスの感染拡大防止策として殺菌消毒作用のある「ポビドンヨード」という成分を含むうがい薬の使用を呼び掛け、うがい薬が市場から消えた騒動の波紋が広がっている。医療団体などから猛反発が上がったほか、新たにタレントで演出家のテリー伊藤氏(70)が事前に情報をキャッチしていたことを明かし、吉村氏の“インサイダー疑惑”が報じられるまでの騒動に発展。吉村氏は疑惑をきっぱりと否定したが…。

 吉村氏が「新型コロナの重症化を抑制する効果がある」として、ポビドンヨードを含むうがい薬の使用を呼び掛けたのは4日の記者会見。うがい薬が品薄状態になり、関連企業の株価が急騰するなどの騒ぎになったのは周知の通りだ。

 会見を受け、市場のみならず、医療機関でも必要な医薬品が不足する事態に陥ったことから、大阪府保険医協会や同歯科保険医協会が、医療現場を混乱させたと猛反発。「知事の発言は住民の命と健康に関わることを肝に銘じて猛省を」などの声明文を発表した。

 吉村氏は翌5日「誤解がある。予防薬でも治療薬でもない」と繰り返したが、後の祭りだった。

 一連の騒動を取り上げたのが9日放送のTBS系「サンデー・ジャポン」だ。同番組でテリー氏は、4日の会見を生中継した日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に出演していたことを明かし「この話を(会見の)1時間半くらい前に知ったんです。これを“今、買っとけばいいな。薬メーカーの株も買えるな”って一瞬、頭に入ったんですけど、やめたんです。インサイダー取引みたいな感じで、やらなかった」と暴露した。

 テリー氏の発言を受け、ネット上では「情報が漏洩している」「インサイダー取引ができた人もいる」と臆測が飛び交った。会見は株式市場が開いている時間に開催されていた。

 吉村氏は11日に府庁で記者団の取材に応じ「インサイダー取引というのは犯罪。ネット上で匿名とはいえ、僕にインサイダー疑惑があるとか軽々には言わない方がいいだろうと思います。維新が嫌いなのは分かりますが、インサイダーじゃないかというのは『あなたは犯罪者でしょ?』と言うのに等しいですから、ネット上での言い方は注意した方がいい」とまずは警告した。

 続けて「インサイダーに関わるようなことは僕は一切やっていないし、そんな事実はあり得ない」と疑惑を否定した。テリー氏の発言の真意については夜になって「テリー伊藤さん自身がTVでの発言を撤回されています」とツイッターでつぶやいた。

 自身の疑惑について否定した吉村氏だが、府政関係者はこう話す。

「問題なのは一部の者しか知らないはずの情報が漏洩していること。府庁内では職員に情報管理をうるさく言う一方で、自らが民放と組んで、あおるような生中継をしてるから、あまりにも露骨で開いた口がふさがらない。当の『ミヤネ屋』に知事は会見の翌々日に出演し、司会者やコメンテーターにヨイショされてましたけど、振り回された側の府民や医療関係者は、どんな気持ちで見ていたのでしょうか」

 吉村氏自身がインサイダー取引などで利益を上げていなくても、問題は残る。株式市場関係者は「関連銘柄の株価は会見後に上がっており、医学的に効果がないと今後判明した場合、効果があるように記者会見で呼び掛けたこと自体、市場を混乱させた風説の流布、株価操縦など法に触れる可能性もある」という。

 吉村氏は研究成果の発表までの経緯について「当日の朝10時に大阪府のホームページに、大阪府病院機構と僕と松井市長で共同発表すると出したが、研究の中身については一切触れていない。会見で初めて発表した。製薬会社4社と国、研究している病院機構と大阪府の一部職員しか知らない話」と説明した。

 だが、前出の府政関係者は「『ミヤネ屋』は『コロナ治療効果が期待できる薬発表へ』とテロップを打ち、事前に知っていた以上、維新関係者から支援者まで知っててもおかしくはないとも推認できる。知事の周りが“シロ”だという説明にはなっていません」と話す。

 会見での発表を「適切だった」としている吉村氏だが、コロナ対策で上がった自身の“株”は、相次ぐ批判で暴落の兆しが見え始めたかもしれない。