新型コロナウイルスのパンデミックによる非常事態で、米アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞も特別ルールの導入だ。

 米映画芸術科学アカデミーは28日、ロックダウンに伴う映画館の閉鎖が続く現状を受け、来年2月28日に予定されている米アカデミー賞発表・授賞式は、一部のインターネット配信の作品も選考対象とすると発表した。従来はロサンゼルス郡内の劇場で連続7日間以上、少なくとも1日3回上映することなどが資格要件とされていた。

 特例措置の対象は、当初劇場での公開が予定されていた作品。その上で、審査のために設置されるアカデミー会員用サイトに、ネット公開日から60日以内に配信されなければならないとしている。

 同アカデミーは劇場での映画鑑賞が重要だとの認識は揺るがないとしつつ「歴史的なパンデミックにより、資格要件に一時的な特例措置を設ける必要が生じた」と説明した。

 ロックダウンが解除されて劇場が再開した場合は、もとの要件が適用されるが、すでにネット配信済みの作品については例外となる。また、劇場の場所についてもこれまでロサンゼルス郡のみだったが、ニューヨーク市やカリフォルニア州のサンフランシスコ、オークランドを中心とするベイエリア、シカゴ、マイアミやアトランタも加えるとしている。

 一方、米アカデミー賞の前哨戦とされるゴールデン・グローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会も来年1月開催の授賞式に向け、対象作品の選考に特別措置を調整中だ。米芸能誌「バラエティ」によると、同協会は選考過程で試写室などでの上映の代わりに、ネット配信を利用することなどを検討している。また、全米映画俳優組合が毎年1月に開催する全米映画俳優組合賞の選考ルールについても同様の措置が取られるとみられ、同誌は7月に詳細が発表される見込みだとしている。