前回紹介したベトナムの凶暴な獣人型UMA「グオイ・ルン」。この記事の後半で以下のように記述した。ベトナムの動物学者の言葉として、「1960年ごろ、北ベトナム側の兵士が高地の飛行場から類人猿らしき遺体をヘリコプターで持ち去るところを目撃された」。そして、「1960年代には米国で『ミネソタ・アイスマン』という氷漬けで保管された獣人型UMAが公開されるという事件が起きた」と。

 今回紹介するのは、この「ミネソタ・アイスマン」である。

 ミネソタ・アイスマンは1960年代に「氷河期から来た男」という触れ込みでカーニバルなどで見せ物として米国各地で公開されていた。

 後頭部は銃で撃たれたために崩れており、身長は1・8メートル、全身は顔などの一部を除き10センチ程度の褐色の長い毛で覆われている。倒れた状態のままの姿なのか、右手は腹、左手を頭の上に掲げたような姿勢で冷凍保存されていたという。

 なお、当時の所有者であり、興行師のフランク・ハンセン氏はこのアイスマンについて「ミネソタ州山間部で友人と狩りに出た際に遭遇、射殺したものである」と語っていたようだ。

 このアイスマンに未確認動物学者のアイヴァン・サンダースン氏が興味を抱き、ベルナール・ユーベルマン氏と共に3日間調査を行った。その結果、このアイスマンを「本物の獣人である」と結論づけたのである。

 そして、獣人の正体について「ベトナム戦争中に捕獲されたネアンデルタール人であり、米国内に連れて来られたものではないか」と大胆な予想を行っている。

 なお、何らかの生物であると断定した理由として、アイスマンを包む氷が解けた部分から明らかに腐臭がしたためであるとサンダースン氏は述べている。

 この鑑定後、アイスマンの知名度は格段に上がって、アイスマンの正体についても多くの臆測が流れることになった。そして「実はゴムでできた人形である」「クロザルの一種」、中には「射殺されたイヌイットではないか」とする説もあった。話が大きくなりすぎることを恐れたのか、フランク・ハンセン氏もアイスマンを公表することを控えるようになった。そして、アイスマンはいつしか人々の前から姿を消した。

 現在では、アイスマンはチンパンジーの死体を加工して作られたものではないかとされている。しかし、計測結果や現存する写真などからの計測によると、かなりの大きさがあるうえにプロポーションも人間に近いため、細工をするならば相当大掛かりなものであったことが推察される。

 ちなみに、アイスマンは興行を終えた後にハンセン氏から本当のアイスマン発見者のもとへ返却されたとも、盗まれたとも言われている。

 しかし、いずれにしてもはっきりしたことは分かっておらず、謎を氷の中に閉じ込めたまま、アイスマンは炎天下の氷のように消えてしまったのである。