巨人に電撃トレード加入した中田翔内野手(32)を巡り、ついに古巣の日本ハム内から厳しい声が噴出した。一連の騒動が公となってから早くも半月が経とうとしているが、中田や周囲に対する風当たりは依然として強い。野球、スポーツの域を超えた問題に発展している今回の騒動だが、日本ハム関係者からは、球団としての問題を指摘する声とともに、衝撃の事実も明らかになった。

 8月4日のエキシビション、日本ハム―DeNA戦(函館)の試合前に、中田が同僚選手へ暴力行為を働いていたことが判明。その1週間後となる11日に騒動の概要と中田への処分の内容(無期限の出場停止処分)が日本ハム球団を通じて発表されると、そのわずか9日後の20日になって巨人への電撃移籍が発表された。暴行当日から1か月を待たずして14年間在籍したチームの主砲がスピード放出される、異例の事態となった。

 暴力行為だけでも世間からは厳しい声が噴出したが、それ以降の展開が騒動に拍車をかけてしまった。中田はチームメート、そして北海道のファンへあいさつのないままに東京に移動し、巨人の選手として謝罪及び入団会見を行った。移籍をもって日本ハム側が出場停止処分の解除を申請し、NPB側がこれを受理。翌21日のDeNA戦から巨人のユニホームにそでを通して試合に出場した。規則上の問題はないものの、ファン心理からかけ離れた〝ご都合主義〟に大きな反発を招く事態となった。

 中田やその周辺へは、一般のファンだけでなく各界の著名人らからも厳しい声が飛んでいるが、ついには古巣・日本ハム内からも疑問視する声が噴出するとともに、驚きの事実が明らかとなった。

 日本ハム関係者が明かす。「事件が起こった日からすでに3週間が経とうとしていますが、いまだに球団内では、一部の選手らを除き、チーム全体に一連の騒動の経緯や説明がされていません。当時の様子は選手間の口コミなどで情報共有がされている状態ですから…」

 球団は、中田から暴行を受けた被害選手の「大ごとにしたくない」との意向を受け、個人特定につながる情報や事件の詳細を控えて世間へ発表することとなったが、前出の日本ハム関係者は「外部への発表で情報を伏せるならまだしも、全選手、全スタッフに対してしっかりとした説明がないっていうのは、球団としてどうなんですかね…。当然、被害者の名前や一連の流れは選手やスタッフ伝いで耳に入ってきますが…」と、対応に首を傾げた。

 別の日本ハム関係者も語気を強めて「何も知らない若手選手たちは完全に蚊帳の外ですよ。仮にも中田は球団の顔で、キャプテンだった選手。『いなくなったらそれで終わり』のように思える球団の対応はどうなのでしょうか」。

 主砲がチームを去ってはや1週間。いまだ事態の鎮静化には至っていないが、日本ハムにとってはもはや「過去のこと」なのだろうか…。