「虎の4番」を経験した男はあまりにも潔くチームを去った。阪神は15日、浜中治打撃コーチ(41)の退団を発表した。「一人の責任じゃない」と慰留されたが、本人の意思が固く、辞任という形になった。
浜中コーチは「虎の4番」という立場に特別な思いを語っていた。今季の5月中旬、浜中コーチに4番・大山悠輔内野手(24)への思いを聞くと、こう返ってきた。
「僕自身、ある意味で大山に託してる部分があります。大山にはシーズンを通して阪神の4番を打ってほしい。その後もずっと4年、5年と続けて阪神の顔でいてほしい。僕は4番を打たせてもらったけど、本当の4番だったとは思ってません。けがもしてしまったし、シーズン通してできてませんから」
いつも見守っていた。2003年の自身以来16年ぶりの生え抜き4番に抜てきされた大山。伝統球団の4番という重圧を背負ったことがあるからこそ、優しくも厳しく接した。浜中コーチ自身は右肩の故障で、虎の4番を全うできなかった。だからこそ、同じ立場で奮闘する後輩への思い入れは強かった。
だが、大山は8月10日の広島戦(京セラ)、106試合目で4番を外れることとなった。一番、悔しかったのは本人だろうが、師匠も同じくらい歯がゆかったはずだ。
「阪神の4番を経験した人にしか分からないことがある。ミスタータイガースと言われた方々を始めとして、その時代の阪神打線の顔となる打者。常に見られてることを意識しておいてほしいです」
浜中コーチの思いに大山が来季、どう応えるのか。力で4番の座を取り戻し、結果で恩返しできるのか。託された虎の4番の思い…。この物語にも注目だ。












