ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指している広島の鈴木誠也外野手(27)について、27日(日本時間28日)時点ではMLBがロックアウト中で、移籍交渉が凍結されているため進展はない。もっとも、内部情報も含め、複数球団が獲得の意思を示している。4年4000万ドル(約46億円)や5年5500万ドル(約57億5000万円)と具体的な相場が報じられるなど、今オフの移籍市場における評価は高く、ポジティブに捉えた意見ばかりだ。

 全球団との交渉が解禁されたのは11月22日(同23日)。その前はマリナーズ、レンジャーズ、パドレスなど西地区球団の積極姿勢が報じられ、マリナーズのディポトGMはオンラインでの面談後に「彼に興味がある。グレートプレイヤーだ」とラブコールを送っている。

 12月に入るとボストン・スポーツ・ジャーナルは鈴木誠を巡ってア・リーグ東地区のレッドソックス、ヤンキース、ブルージェイズの3球団がアグレッシブに動いているという内部情報を発信。その後、それぞれの地元メディアがいかにチームにフィットするか検証する記事を掲載した。ロックアウト直前に相次いで大型契約を結んだレンジャーズの地元紙ダラスモーニング・ニューズ(電子版)が14日(同15日)にあらためて獲得を提言するなど過熱する一方だ。

 また、スポーツ・イラストレイテッド誌(電子版)は19日(同20日)に「ジャイアンツとドジャースが日本のスター鈴木誠也の(入札)パーティーの参加に興味」と伝えるなど、東西で同地区のライバル球団間での争奪戦に発展する可能性が高い。メッツ、フィリーズ、ブレーブスの名前も挙がっており、鈴木誠の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏の「8~15球団から興味」という発言とも一致している。

 鈴木誠の人気が高いのは27歳という若さ、走攻守の三拍子そろっていることに加え、過去の国際大会の実績、さらには大物FA選手と比べて年俸が高くない、獲得によってドラフト指名権を失うことはない、とメジャー各球団にとってはお買い得なのだ。

 MLBと選手会の労使協定を巡る交渉は年明けに再開される見込み。ロックアウトさえ終了すれば、移籍先は引く手あまた。来年、どのユニホームでプレーするのか。楽しみしかない。