中国の国営・共産党系メディアが、ドラマ「VIVANT」(TBS系)を相次いで猛批判している中、TBSテレビの龍宝正峰社長は28日の定例記者会見で、「完全なフィクションによるエンターテインメント作品」と強調し「特定の国を敵視したり、おとしめたりする意思はない」と述べた。火消しに努める中で、韓国も騒動に〝便乗〟して、日本を批判する事態となっている。
中国のSNSで同ドラマへの批判の声が上がり始めたのは今月中旬からで、25日以降には主要メディアも相次いで厳しい論評を掲載した。
中国メディアが特に問題視したのは、ドラマ内で、中国系組織のメンバーが自衛隊の秘密組織「別班」の隊員の指を切断し、腹部を刺すなどの拷問を加える場面。中国側は、旧日本軍が中国人に行った残虐行為を現代の中国人になすりつけ、自衛隊を正義の存在として美化していると批判した。
中国国営の中国中央テレビ(CCTV)は25日、公式SNSで「意図的に中国を中傷! 旧日本軍の拷問を中国人になすりつける日本ドラマ『VIVANT』は、いったいどれほど荒唐無稽なのか?」というタイトルの論評を掲載。国営、共産党系メディア以外も相次いで批判を繰り広げている。
この騒動は韓国メディアにも波及した。韓国紙「京郷新聞」は28日、「自衛隊の活躍を描くドラマに中国が激怒…日本では周辺国を刺激するコンテンツが続々」と題する記事を掲載。中国側の批判を紹介するとともに、安倍晋三元首相の銃撃事件を題材とし、暗殺犯を韓国人狙撃手に設定した日本映画の企画にも言及。政治的に敏感な題材を扱う日本の映像作品が、周辺国との外交摩擦を招く可能性に注目している。
台湾メディアも騒動を詳報した。通信社「中央社」は25日、中国側の批判を伝えるとともに、高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の緊張が続いていると報じた。
そもそも映画やドラマが、他国の国民感情を刺激することは珍しくない。一部韓国メディアは昨年、日本のアニメ映画「鬼滅の刃」をめぐり、主人公の耳飾りが旭日旗を連想させることなどを問題視した。
中国事情通は「中国では旧日本軍を悪役とする抗日ドラマが数多く作られています。韓国にも日本統治時代の独立運動を描く映画やドラマがあります。映画やドラマには、それぞれの国の歴史観や国民感情が反映されやすいのです。特に日本、中国、韓国、北朝鮮のように、歴史的な関わりの深い国々では、自国では英雄とされる人物が、他国では異なる評価を受けることもあります。同じ出来事でも〝誰の視点から描くか〟によって物語が大きく変わります」と指摘している。












