ここ最近、嬉しいことに飲み会が増えた。楽しいのはいいのだが、困ったことに、立て続けに2回も記憶を喪失。いわゆる「ブラックアウト」だ。ブラックアウトは酔って意識を失うのではなく、会話をしたり、帰宅したりしているのに、その間の出来事を一切覚えていない現象を指す。

 私の場合、店を出た後の記憶がないことがほとんど。また、翌日は薬を飲み忘れたり、こともあろうか担当編集者の名前すら出てこなかったりする。年齢のせいだと思っていたが、どうやら酒が関係しているらしい。今年3月、それを証明するような研究がアメリカの学術誌「Alcohol, Clinical and Experimental Research」で発表された。

 研究チームは、過去に大量飲酒やブラックアウトを経験した大学生304人を対象に、最大21日間、飲酒状況と翌日の認知機能を調べた。その結果、ブラックアウトした翌日は、人の名前など過去の情報を思い出せない「回想的記憶」の失敗が起こるオッズ(実際に起こる確率と、起こらない確率の比)が61%高かった。

 一方、短時間に大量の酒を飲んだ翌日は、薬を飲むなど、これから行う予定を忘れる「展望的記憶」の失敗が起こるオッズが66%高かった。さらにブラックアウトした翌日は、情報を一時的に保持しながら処理する「ワーキングメモリ」のテスト成績も低下。つまり、酒による記憶の問題は、飲んでいる最中だけで終わらない可能性があるのだ。

 ただし、今回の対象は若い大学生であり、飲酒と翌日の物忘れの因果関係まで証明した研究ではない。私自身の物忘れについても、加齢や睡眠など、他の要因も考えられる。それでも、記憶が飛ぶほど飲んだ翌日に「何だか頭が働かない」と感じるなら、軽視しないほうが賢明だ。

 これから年末にかけ、飲み会はますます増えるという方も多いだろう。大勢で集う時は飲み放題がほとんどなので、周囲の勢いにつられ、飲み過ぎることも少なくないはず。私が言っても説得力ゼロかもしれないが、仕事でポカをしないためにも、ブラックアウトするまでの深酒には注意しよう。