大相撲九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎える。今場所は横綱大の里(26=二所ノ関)が連覇に挑むほか、大関安青錦(22=安治川)ら上位陣も賜杯奪取へ虎視眈々。一方で、横綱豊昇龍(27=立浪)は右ヒザ手術後の回復途上で出場は不透明だ。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、審判として参加した秋巡業をリポート。関取衆の稽古内容を踏まえながら、一年納めの場所を展望した。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 10月の秋巡業には、私も審判部の一員として参加させていただきました。巡業中に関取衆の稽古を間近で見た感想を踏まえながら、九州場所を展望してみたいと思います。まずは両横綱から。右ヒザ手術から復帰を目指す豊昇龍はまだ万全ではなく、感触を確かめている段階。稽古の動きも本来の姿と比べると単調で、慎重に相撲を取っている印象でした。

 ヒザは踏み込みや重心の低さ、残す動きなどにも関わる大事な部分。特に豊昇龍のような軽量の力士は、ヒザを痛めると〝軽さ〟の部分が顕著に出る傾向があります。本人も次に出場する場所は進退をかける覚悟で臨むはず。初日までに少しでも不安が残るようであれば、もう1場所回復にあてる選択もありだと思います。

 大の里は、実力的に優勝争いの大本命。秋場所では1年ぶりに賜杯を抱いた一方で、引く癖や勝ち急いで自滅する相撲もあり、横綱に上がったころと比較すると物足りなさを感じました。巡業の稽古を見ても、まだ相手の動きに合わせるような相撲が多い。ここからさらに稽古を重ねて、自分から前に出て相手を圧倒する相撲を取り戻すこと。それができれば、盤石になるはずです。

 大関陣では、やはり安青錦が優勝争いに絡んでくるのでは。巡業中は、主に土俵の下で体を動かすマイペース調整。稽古をガンガンやるタイプではないけれど、本番になるとしっかり結果を残すのがこの力士の特長でもある。前傾姿勢で押していく自分の形を持っていることも大きな強み。大の里とともに、軸になると見ています。

 関脇以下では、藤ノ川が巡業で精力的に稽古をする姿が印象的でした。稽古場でも力を抜くことがなく、ひたむきな姿勢が見ている側にも伝わってくる。どの巡業先でもお客さんから大きな声援を送られていて、改めて期待の大きさを感じました。先場所は新関脇で臨み、大関取りの起点となる11勝。今場所でも台風の目になりそうな予感がします。

 その他にも、先場所で悔しい思いをした霧島や熱海富士、新小結の美ノ海、大関経験者の朝乃山ら上位には個性的で実力がある顔触れがそろっている。横綱や大関も気が抜けない戦いが続くし、ファンのみなさんには見応えのある15日間になると思います。各力士は熱戦で土俵を大いに盛り上げ、一年納めの場所を締めくくってもらいたいですね。それではまた!

(随時掲載)