大相撲の秀ノ山部屋が開設2周年を迎えた。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)による指導のもと、10代中心の若い弟子たちは着実に成長。日々の鍛錬に加え、レスリング金メダリストらとの合同稽古や落語家を招いての〝異色トレ〟にも取り組んだ。同親方による連載「がぶりトーク」では、師匠の立場からこの1年を総括。3年目のさらなる飛躍に向けて決意表明した。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 早いもので、秀ノ山部屋は10月19日に開設2周年を迎えました。この1年の間に幕下力士が初めて生まれ、三段目に上がった力士もいる。お相撲さんは三段目から雪駄を履けるようになり、幕下から博多帯を締められるようになります。弟子の番付が上がって身に着けるものが変わっていく姿を見るのは、うれしいものですね。

落語を鑑賞する力士たち(秀ノ山部屋公式インスタグラム hidenoyama110から)
落語を鑑賞する力士たち(秀ノ山部屋公式インスタグラム hidenoyama110から)

 1年目は稽古に耐えるための体力づくりを徹底し、2年目からは出稽古に行けるようになった。部屋の外に出て自分より番付が上の人の圧力を体感できたことも、各力士の成長につながっていると思います。日々の指導の中で特に重視しているのは、気持ちの部分。勝ち負けよりも、自分の力を出し切ること。この1年で、ようやく弟子たちに浸透してきたと感じています。

 他競技の選手と交流する貴重な機会もありました。4月にはレスリングの日下尚選手(パリ五輪金メダリスト)、白井達也選手、小畑詩音選手、5月は京葉ガス柔道部のみなさんに部屋へお越しいただき、合同稽古を行いました。相撲経験者の日下選手は押し方一つにしても基礎ができているし、力の伝え方が抜群にうまい。大相撲の世界に入っても相当強いと改めて感じました。

 他競技には相撲と異なる動きがある一方で、体の重心の保ち方や相手との間合いの取り方など共通する部分も多い。弟子たちはまだ10代の子が中心で、何でも吸収できる時期。決まった形にはめ込むのではなく、いろいろな動きを体に覚えさせることによって、相撲でもより力が発揮できるはずです。

 土俵外での講習や体験にも、引き続き取り組んでいます。2月には専門家の先生をお招きして、呼吸や歯のかみ合わせなどについて指導を受けました。呼吸の仕方一つで集中力や瞬発力、睡眠の質や回復力も大きく変わってくる。日ごろから深い呼吸ができるように意識付けをして、稽古で体を動かす際にも学んだ呼吸法を実践できるようにしています。

 6月には三遊亭好楽師匠、三遊亭ぽん太さん、三遊亭好好さんに部屋で落語を披露していただきました。人を引きつける話し方や絶妙な間の取り方、相手を思いやる心。相撲とは全く異なる世界に触れることで、新しい発見があったり視野を広げることができる。弟子たちには大喜利にも挑戦してもらいました(笑い)。自分の感性を磨きながら、人としても大きく育ってほしい。

 秀ノ山部屋は力士4人からスタートして、今では8人。そして、エストニアから来た研修生のアナトーリも次の九州場所で新弟子検査を受検する予定です。師匠としての3年目の目標は、全体を底上げすること。横綱や大関を育てる夢を持ちつつ、弟子たちには焦らず一歩ずつ成長していってもらいたいですね。それではまた!