新たなステージへ――。陸上女子中長距離の田中希実(27=豊田自動織機)が16日、都内で行われたニューバランス社のイベントに出席。3個のメダルを獲得した愛知・名古屋アジア大会について「頑張ってきたからこそ運も味方してくれた」と振り返った。

 金メダルにはあと一歩届かずも、銀2個、銅1個を奪取。銀メダルに輝いた5000メートルはラスト1周でかねて意識してきた60秒切り(59秒6)のスパートを披露した。父でコーチの健智さんは取材に「2024年パリ五輪の5000メートルからなかなか前進できていなかったけど、ようやく次のステップに進むことができる」と手応えを語った。

 21年東京五輪は1500メートルで8位入賞。しかし、24年パリ五輪は1500メートル、5000メートルともに決勝進出を逃した。近年は世界の舞台で苦戦を強いられてきたが、明るい兆しが見えてきた。健智さんは「やっと2年間の重荷から解放されたと思う。(五輪などの国際大会で)金メダルまでは目指せなくても、別の色のメダルを目指すための準備をしていきたい。できるかできないかは別で、できることに対しての準備はこれからもやっていきたい」と展望を口にした。

 アジア大会後の田中は、鹿児島・屋久島での休暇を挟んで練習を再開。今後はケニア合宿で強度を上げていく構えだ。「初めてケニアに行った時と同じ感じで、割と行き当たりばったりな感じになると思うけど、日本ではできないようなハイレベルな練習をしたい」。大きな壁を乗り越えたエースは、世界の表彰台に挑戦する。