日本の上野動物園で生まれたジャイアントパンダ、シャオシャオとレイレイが中国で一般公開された。1月に〝帰国〟してから約8か月。公開日は、日中国交正常化54周年に当たる9月29日だったことで、中国のしたたかな〝パンダ外交〟の思惑が透けて見える。

 中国の通信社、中国新聞社は30日、「6頭対0頭――日本は『パンダゼロ時代』へ」と報じた。

 9月27日にピンピンとフーシュアンが米ジョージア州アトランタに到着し、米国内のパンダは計6頭となった。

 これに対して日本ではこの数年間、シャンシャン、ビーリー、シィエンニュ、そしてシャオシャオ、レイレイと、パンダの中国への返還が相次いだ。

帰国直前のシャオシャオ(2025年12月)
帰国直前のシャオシャオ(2025年12月)

 中国新聞社は「今年1月27日、最後の2頭が中国へ出発したことで、日本は正式に『パンダゼロ時代』に入った。この数年間、日本の人々は何度も行列をつくってパンダとの別れを惜しんだ。それが今、太平洋の向こう側では米国人が大喜びで新たな〝使者〟を迎えている一方、自分たちの国に残されたのは空っぽのパンダ舎だけ。日本のパンダファンがどんな気持ちでいるのかは、想像に難くない」と伝えた。

 米国に到着したピンピンらは、約1か月の隔離検疫を経て公開される予定だ。それでは、なぜシャオシャオらの公開には約8か月もかかったのか。

 日本生まれ、日本育ちのシャオシャオとレイレイは1月に中国へ渡った。帰国時、中国ジャイアントパンダ保護研究センターの職員は中国メディアに「1か月隔離した後、適応状況を見て一般公開の時期を決める」と説明。約30日間の隔離検疫を終えた後もすぐには公開されず、新たな環境への適応を続けてきた。

 中国メディアによると、シャオシャオは当初、屋外に置かれた餌をわざわざ室内へ運び込んで食べるほどの〝インドア派〟だった。音にも敏感なため、中国側は防音ガラスを設置した。一方、レイレイは初めて屋外運動場に出た際、わずか1~2時間で新しい環境に適応したという。

 そして、ようやく一般公開を迎えた。その日は、米国に新たなパンダが渡った直後で、しかも日中国交正常化54周年という節目の9月29日だった。

 中国事情通は「シャオシャオらの中国への返還が決まった際、中国共産党機関紙のタブロイドは、パンダ交流は中日間の〝温かい絆〟だが、その継続には良好な政治環境が必要だとして、高市政権の台湾をめぐる発言が交流環境を損なったとの見解を掲載していました。一方、国営通信社は、日本生まれ、日本育ちの中国の〝国宝〟が日本国民に愛され、〝中日民間友好の橋〟を架けたと美談調で伝えています」と指摘する。

 中国ではパンダは〝国宝〟と呼ばれ、国民的人気を誇る。果たして、米国への新たなパンダ到着直後、そして日中国交正常化54周年というタイミングでの一般公開は偶然だったのか。〝パンダ外交〟を続けてきた中国だけに、その日付にも注目が集まりそうだ。