サイ・ヤング賞計4度の〝兄弟ゲンカ〟は、ただのおふざけではなかった。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は29日、ドジャースのタリク・スクバル投手(29)とブレイク・スネル投手(33)の知られざる関係を特集した。2人は互いを「兄貴」「弟」と呼び合い、AIで作ったラップ動画まで公開。15万件超の「いいね!」を集めるなど、すっかり名物コンビとなっている。

 だが、その舞台裏は真剣そのものだ。今夏にタイガースから加入したスクバルは移籍前から、自身がスネルの登板直後に同じ相手と対戦する際、その投球映像を見返して研究していたという。9月のジャイアンツ戦で4失点し、イラ立ちをあらわにした翌日にはスネルが声をかけ、率直な言葉をぶつけた。スクバルも「僕たちは同じ目標を持っている」と、その存在の大きさを認めている。

 この〝兄弟力〟が試されるのは、まさに10月だ。ワイルドカードシリーズを免除されたドジャースは、地区シリーズから世界一3連覇への戦いを始める。第1戦は山本由伸投手(28)の先発が有力で、スクバルが第2戦、スネルが第3戦を担う可能性がある。

ドジャースでスクバルの「兄貴」を務めるスネル(ロイター)
ドジャースでスクバルの「兄貴」を務めるスネル(ロイター)

 スクバルは移籍後62回で防御率2・61。スネルも今季防御率1・90と圧巻だ。一方でスネルは昨年のワールドシリーズで3試合13回を投げて10失点。「去年の10月よりも良い成績を残したい」と雪辱を誓っている。

 短期決戦ではエースの出来がシリーズの流れを一変させる。技術を盗み、時に遠慮なく言い合える2人の関係は、豪華ローテーションを単なる〝名前の羅列〟で終わらせないための接着剤にもなる。

 ネットでは笑いを集めた「兄貴と弟」。10月にはその呼び名以上に厄介な2人組となって、王者のマウンドを支えることになりそうだ。