すべてを水に流せるのか。右上腕の炎症で15日間の負傷者リスト(IL)に入っているドジャースの大谷翔平投手(32)が23日(日本時間24日)のパドレス戦で打者として復帰する見通しとなった。最短の15日間での復帰にこぎ着けられる見込みだが、PS目前で主砲を離脱させた球団の管理は本当に適切だったのか。現場責任者のデーブ・ロバーツ監督(54)の判断の遅れは帳消しにはできない。

 ロバーツ監督は22日(同23日)、大谷について「特に変更の連絡がない限りラインアップに入るだろう」と翌23日(同24日)のパドレス戦で復帰させる考えを明かした。左ヒザの炎症も抱える大谷は7日(同8日)の出場を最後にIL入り。遠征には同行せずロサンゼルスで治療を続けたが、16日(同17日)にティー打撃を再開。18日(同19日)にはチームに再合流し、コーチの投球を打つ打撃練習を再開させ、最短の復帰にこぎ着けられる見込みとなった。ロバーツ監督は回復具合について「1から10のスケールで言えば(IL入り)当時は5だったのが、今は8か9くらいになっているだろう」と説明した。

 ただ、復帰へのステップを順調に踏んでいるとはいえ、実戦から離れている期間があるだけに、戻ってすぐ本来の打撃を取り戻せるかは未知数だ。求められるのは「復帰」ではなく「本来の大谷」だ。

 そもそも健康問題は6月から続いていた。投手としては7月3日(同4日)を最後に登板せず、右上腕二頭筋にも不安が生じた。それでも打者として出場を続け、9月に入って休養を挟んだ後も一度はラインアップに戻した末、結局はIL入り。ロバーツ監督自身、後になって「今なら戻ってILに入れたい」と認めている。結果論だけでは片づけにくい経緯だ。

 比較対象となっていたアーロン・ジャッジ外野手(=ヤンキース)の状況も一変した。右肋骨の疲労骨折で5月末を最後に約100日離脱し、8日(同9日)に復帰。14日(同15日)には復帰後初本塁打を放ってPS進出決定に貢献したが、今度は右ふくらはぎの肉離れを発症し、ヤンキースは18日(同19日)、10日間のILへ入れると発表した。最短でも復帰可能なのはレギュラーシーズン最終日の27日(同28日)で、アーロン・ブーン監督はPSに間に合うかも明言していない。

 慎重に休ませたジャッジまで再離脱したことで「ヤンキースは正解、ドジャースは失敗」という単純な対比は確かに崩れた。だからといって、大谷を長期間プレーさせ続けた判断まで正当化されるわけではない。メキシコの野球専門サイト「アルバット」は当時、大谷への対応が3連覇の可能性を損ねかねないと批判し、判断の遅れを「自業自得」とまで評した。

 大谷が本調子を取り戻し、そのまま3連覇へ突き進めば批判は薄まるだろう。だが、それと管理責任は別問題だ。故障の兆候を抱えたスーパースターをどこまで休ませ、どこで止めるか。その最終判断を担ったロバーツ監督こそ、一連の経緯を検証されるべき立場にある。大谷復帰への期待だけで〝人災〟批判まで消し去ってはならない。