愛知県の名古屋競輪場で開催された「第67回日本選手権競輪」(GⅠ)は23日、最終日を行った。決勝は近畿結束で“魂”の走りを見せた村上義弘が番手まくりでV。昨年立川に続く連覇で、3回目の「ダービー王」を襲名した。

 重くのしかかった新選手会騒動の責任。村上自身は首謀者と見なされ、一番重い5月から1年間の自粛欠場を突きつけられた。そして行動を共にした後輩たちにも半年の自粛欠場が科せられ、身も心もズタズタになっていた。毎年、3月のダービーに向けて万端の準備を整える選手生活だったが今年は全くできない状態が続いた。

「6日間、苦しい戦いだったがファンの声援が自分を支えてくれた」。見えない力が村上を後押しし、競輪ファンとともに感動をつかんだ。検車場に戻ってくると「みんな苦しかったと思うので…」と自粛欠場となる仲間のことを思い、号泣した。

 近畿の仲間との絆が優勝の最大の要因だ。「ゴールするときはどうしてか目を閉じていた。気づいたら横に武田(豊樹)さんと深谷(知広)君がいた」。優勝と分かったのは「博幸が『お兄ちゃん!』と声をかけてくれたから」とはにかんだ。最後になるかもしれない兄弟連係のレースを胸に刻み込んだ。

 今節での引退はない。「4月まで出ているあっせんを走ってその後のことはそのとき考えます。1年間競輪から離れるということに耐えられるか自信がないので…」と話した。「競輪以外のことは考えたことがない」という“村上義弘”の人生。「家族ともじっくり考えたい」と、虚空を見つめた。

 愛する競輪を多くの人に伝えたい、その一心だ。「自分だけでなく選手みんながいいレースを積み上げ、競輪の素晴らしさを知ってほしい」。競輪は最高だ――。その思いを胸に、生きていくことは変わらない。“魂”の男の背中は、さんぜんと輝いている。


【23日・決勝VTR】深谷知―成田和、平原康―武田豊―内藤秀、稲垣裕―村上義―村上博―稲川翔で周回。赤板で稲垣が動き先行態勢に入る。平原が5番手を取り、深谷は8番手に下げる。稲垣の全開の走りを平原が最終HSから仕掛けるが、村上博がけん制。武田も踏むが村上義が番手まくり。深谷のまくり追い込みは3着まで。村上義が抜け出し優勝。まくり迫った武田が2着。