ロシアの謎の短波放送局「UVB―76(ロシア語表記:УВБ―76)」が27日、わずか1日で25件もの謎の暗号を立て続けに発信した。

「ニワトリちゃん」「殺人者」「ウェイトレス」「アフガン人」…。意味深な単語から意味不明の造語までが次々と読み上げられ、ロシアのネット上をザワつかせている。

 UVB―76は1970年代から短波の4625キロヘルツで放送されているとされる謎の局だ。普段は「ブー、ブー」という単調な音を流し続けることから「ブザー(ロシア語ではジュジャルカ)」、さらには核戦争との関連を疑う都市伝説から「終末ラジオ」と呼ばれている。ロシアメディア「ガゼータ・ルー」などによると、27日は午前7時ごろから異変が始まった。最初に読み上げられたのは「副旋律」。その後、「同位酵素」「罪」などが続き、午前11時すぎには、「ニワトリちゃん」まで飛び出した。さらに「記録」「ドニエストル」「殺人者」「ウェイトレス」「アフガン人」「噴霧」などを発信。その合間には、通常のロシア語辞書では意味を取りにくい奇妙な造語も読み上げられた。最後の25件目は午後5時9分の「抹消」という言葉だった。

 特に臆測を呼びそうなのが「ドニエストル」だ。ドニエストル川はウクライナからモルドバへ流れ、ロシア軍が駐留する親露派支配地域「沿ドニエストル」とも結びつく。「アフガン人」も含め、地名や軍事行動を示す暗号ではないかと想像したくなるが、個々の単語を字義通りに解釈できる証拠はない。

 UVB―76の通信は通常、「呼出符号+数字+コードワード+数字」という規則的な形式になっている。過去にも「弱さ」「清掃員」「スープ」など脈絡のない言葉が使われており、単語そのものに意味があるのではなく、受信側だけが解読できるコードブック上の識別語との見方がある。 では、なぜ27日に突然〝25連発〟したのか。

 ロシア紙AiFが28日、UVB―76を監視する専門家に取材したところ、意外にも答えは「大規模な通信訓練」だった。同日は複数の呼出符号を使った地域演習と、通常の計画的な無線訓練が重なったため、計25件に膨れ上がったという。専門家は「パニックや陰謀論の理由はない」としている。

 一方、ロシア紙モスクワ・タイムズは、25件は過去20か月で最多タイで、米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官がモスクワを訪問した直後だったと指摘した。ただし、両者の関連を示す証拠はない。

 専門家の説明通り単なる訓練だったとしても、あまりにも物騒でシュールな〝25連発〟だった。