まるで日本の「口裂け女」や米国の「スレンダーマン」のように、英国で都市伝説が現実を浸食している。

 英国で「キャット・イン・ザ・ハット(帽子をかぶった猫)」の姿をした〝連続殺人鬼〟が夜の街を徘徊している――。そんな不気味な動画や画像がSNSで拡散し、子供たちを恐怖に陥れている。もちろん殺人鬼は実在せず、生成AIなどを使ったフェイクだが、偽の警察情報まで出回り、本物の警察が火消しに乗り出す騒ぎとなった。英紙サンなどが27日までに報じた。

「キャット・イン・ザ・ハット」は米児童文学作家ドクター・スースが生み出した、赤と白のしま模様の帽子をかぶったネコの人気キャラクター。ところが最近、TikTokなどでは不気味な姿に変貌した〝殺人ネコ〟が、夜の道路を歩いたり、車の上にしゃがんだり、民家の窓をのぞき込んだりする動画や画像が続々と投稿されている。

「次は○○の街だ」「ドアに鍵をかけろ」などと地域住民を狙ったようなメッセージも添えられ、英国内各地へ飛び火。「連続殺人鬼が徘徊している」とのデマに発展した。

 あまりの不気味さに本気で怖がる若者も現れた。報道によると、16歳の少女は友人宅で動画を見ているうちに恐ろしくなり、午前3時ごろ母親に電話して迎えに来てもらったという。

 さらに騒動を拡大させたのが、警察を装った偽情報だった。「ヨークシャー警察」を名乗るSNS投稿が「午前2時30分ごろ、メドウホール地区を歩くキャット・イン・ザ・ハットのような不審人物について複数の通報を受けている」などと警告。しかし、「ヨークシャー警察」という組織は存在しない。

 本物の南ヨークシャー警察は「キャット・イン・ザ・ハット、あるいは仲間について、管内で目撃情報は受けていない」と否定。SNS上で警察を名乗る情報を見かけた際には、本物の公式アカウントから発信されたものか確認するよう呼びかけた。

 英国に先立って騒動が広がったアイルランドでも警察が対応した。ウェックスフォード警察はインスタグラムで、問題の画像などはAIを使ってキャラクターを実在の場所に登場させたものだと説明。「あなたが外出している間、キャット・イン・ザ・ハットが自宅の車寄せにいたわけではない」とユーモアを交えて火消しに乗り出した。

 ネット上の作り話だった〝殺人ネコ〟だが、流行に便乗し、実際にキャラクターの格好をして人々を驚かせる者まで現れたと報じられている。AIが生み出した都市伝説が警察を動かす騒動となっている。