マレーシアのクアラルンプールを拠点とするアイドルグループ・KLP48への完全移籍から約2年。甲斐心愛(22)が3月1日に古巣である瀬戸内を拠点にするSTU48に電撃復帰し、9月16日に発売される14thシングルで初センターを務める。言葉も通じない、アイドルの概念すら浸透していない異国で何を学び、なぜ再び瀬戸内に戻る決断をしたのか――。
甲斐は、2017年3月に結成された瀬戸内7県を拠点にするアイドルグループSTU48の1期生としてデビュー。24年に志願してKLP48に完全移籍。約2年間、異国の地で活動し、今年3月に古巣に復帰した。
「最初は本当にゼロからのスタートでした。日常生活の英語すら全くしゃべれない状態でマレーシアに渡ったんです」
そう苦笑いしながら振り返る甲斐だが、現地での生活は想像以上に過酷なものだった。2024年7月にお披露目されたKLP48。しかし、ダンスの先生すらアイドルのステージングを知らず、ポジションの概念もない。周囲のメンバーは「アイドル」の定義すら分からない状態から、グループを一から立ち上げなければならなかった。
日本での活動がどれほど恵まれていたかを痛感する日々。ホームシックにも襲われたが、甲斐はそこで立ち止まらず、家では隠れてオンライン英会話に励み、カフェや街のドライバーにも積極的に話しかけて語学力を磨いた。そして何より、自身のマインドが大きく変わったという。
「以前の私は、周囲に気を使って自分の意見を強く言えないところがありました。でも、レッスンに時間通りに来ないメンバーもいた。あっちでは自分が動かなければ何も始まらない。メンバーに対しても『ステージを楽しむために、もっとこのサビを練習しよう』と、ちゅうちょなく引っ張っていけるようになりました。演出に頼るだけでなく、自分たちでステージを作るんだという意識が芽生えたんです」
AKB48などの限られた楽曲のなかで、現地のファンを飽きさせないためにどう魅せるかを考え、試行錯誤を繰り返す。今年2月に現地に専用劇場が誕生するまでの約2年間を泥臭く駆け抜けた。
そんな努力もあり、SNSのフォロワー数は跳ね上がり、コメント欄は英語やマレー語で埋め尽くされるように。まさに、自らの手で“海の向こうのスター”への階段を駆け上がったのだ。
とはいえ、実はKLPの契約満了を迎えるにあたり、甲斐の心は一度「芸能界引退」へと傾いていたという。
「幼い頃からの夢だった『海外に住むこと』をかなえて、やり切ったという満足感がありました。アイドルを続ける選択肢は頭になく、芸能活動をやめて次の人生に進もうと考えていたんです」
そんな彼女の背中を押したのは、家族ら周囲からの言葉。「本当にこれで終わりでいいの?」。その言葉にハッとさせられ、自分自身の胸の奥をのぞいた際、「最後はやっぱり、大好きなSTU48がいい」という本音が眠っていることに気づいたと明かした。
帰国後、グループは4期生が加入するなど様変わりしており、1期生の甲斐にとってほとんどが後輩メンバーとなった。来年3月の節目となる10周年を見据えるグループにあって、甲斐は9月発売の新シングル(タイトル未定)で、自身初のセンターを任されることになった。「何もできない私なのに、後輩たちが頼ってくれて、夜中までグループの未来を話し合うこともあるんです。マレーシアのファンやメンバーとSTU48をつなぐ『海外との懸け橋』にもなりたい」
瀬戸内で育ち、マレーシアの大地で殻を破った甲斐が、新生STU48に新たな風をもたらす。
☆かい・ここあ 2003年11月28日生まれ、広島県出身。17年にSTU48の1期生として加入。19年2月の2ndシングル「風を待つ」で表題曲初選抜メンバー入り。24年6月からKLP48へ完全移籍。今年2月をもってKLP48としての活動を終え、3月にSTU48に復帰した。7月1日に2冊目の写真集「おかえり太陽」を発売する。












