【山下達郎/CIRCUS TOWN(1976)】
半世紀以上にわたって日本のロック/ポップスシーンのトップを走り続けてきた山下の傑作ソロファーストアルバム。今年で発売50周年を迎え、豪華な記念盤がリリースされたばかりだ。1975年にシュガー・ベイブ「SONGS」でデビューした山下は、その画期的なサウンドで日本の音楽シーンに新風を吹き込んだが、セールス的には振るわず76年に解散し、ソロ活動へ向かう。
当時まだ22歳。しかし新たな方向性を求めて、デビューアルバムでは破格の海外録音を決意する。A面はニューヨーク、B面はロサンゼルスで録音され、米国の音楽家にプロデュース、アレンジメントを任せる方式をとった。不安を抱きながらレコーディングに臨むも、NY録音でプロデュースを担当したチャーリー・カレロとミュージシャンたちが、自分の思い描いていたサウンドと一致したことで音楽家としての確信を得る。
A面1曲目の表題曲から山下の若々しくも伸びやかなボーカルが胸を打つ。続く名曲「WINDY LADY」ではスネアの音が強調され、複雑なコード進行が印象的だ。転調が見事なバラード「永遠に」でA面が終わると、切なくも美しい「LAST STEP」でB面が幕を開け、難解かつ性急な曲調が印象的な「迷い込んだ街と」からラストの感動的な「夏の陽」でアルバムはクライマックスを迎える。
ここで歌われる夏は、大ヒットメーカーとなった後に「夏といえば山下達郎」と呼ばれた爽やかさよりも、ジリジリと照りつける晩夏の残暑という印象が強い。それは若者特有の焦燥感、それと共存する未来への希望を見事に表現している。掛け値なしの名盤である。












