米国の戦闘機が3日、イランに撃墜され、緊急脱出した乗員が2日間にわたり行方不明だったものの、救出された。特殊部隊の派遣、CIAのニセ情報作戦、重さ800グラムの衛星通信ベースの装置「戦闘生存者逃走者位置特定システム(コンバット・サバイバー・エベイダー・ロケーター=CSEL)」など、さまざまな要素が組み合わさり、救出作戦は成功し、トランプ米大統領は「イースターの奇跡」と称賛した。

 コールサイン「デュード44」の戦闘機F―15Eストライクイーグルが3日、イランに撃墜され、パラシュートで乗員2人は緊急脱出した。パイロットは同日中に軍用ヘリによって救出されたが、兵装システム士官(WSO)は約48時間にわたり行方不明だった。

 WSOは、護身用の拳銃と戦闘生存者逃走者位置特定システム(CSEL)しか持っておらず、緊急脱出した際に重傷を負っていたが、標高約2000メートルの山に登り、切り立った岩の裂け目に身を潜めることで、イラン側からの追跡を逃れた。

 米軍は、約200人の陸軍特殊部隊デルタフォースと海軍特殊部隊SEALs、海軍特殊戦開発グループDEVGRU(デブグル)や情報要員、数十機の戦闘機やヘリによって戦闘捜索救難(CSAR)作戦を行った。CIAは「位置を特定した」「海上脱出で国外へ移送中」というニセ情報を流し、捜索のための時間を稼いだ。複数のB―1爆撃機が約100発の衛星誘導爆弾を投下し、無人機MQ―9リーパーがWSOの潜伏地点に接近する敵勢力を攻撃した。

 最終的にWSOを安全な場所へ移送した後、軍事装備がイランの手に渡るのを防ぐため、地上に残された機体を爆破した。

 トランプ氏は5日夜、自身のSNSに「われわれは彼を救い出した。同胞たちよ、この数時間で米軍は米国史上最も大胆な救出作戦の一つを成功させた。彼は尊敬される大佐であり、現在は無事だ」と投稿した。

 米国事情通は「一部では、戦術輸送機やヘリの損失を含め、作戦コストが約3億ドル(約479億円)に達したといわれています。それでも、もしイランがこの士官を捕らえていれば、イラン側のプロパガンダ材料となることは確実で、捕虜問題として米国世論にも重大な影響を与えていた可能性があります。逆にどれだけの力と経費を注いでも、士官を救出したことで、〝トランプは誰も見捨てない〟〝士官は英雄〟として士気を上げることになりました」と語る。

特殊装置のCSEL(海軍航空システム司令部の公式サイトから)
特殊装置のCSEL(海軍航空システム司令部の公式サイトから)

 WSOの命をつないだのは、CSELだった。イスラエルメディア「Yネット」は5日に「たった一つの小さな装置が彼を衛星と、数千キロ離れた指揮センターに接続し、位置を露見させることなく発見を可能にした」と報じた。

 ボーイング製のCSELは、軍用無線機と大型の携帯端末を組み合わせたようなもので、フライトスーツの上に着用する生存ベストに組み込まれている。通常は胸部や腰のポケットに収納され、片手で操作できるよう設計されている。緊急脱出時の衝撃にも耐える構造で、位置情報や暗号化されたテキストメッセージを常時送信し、周波数ホッピングによって敵に探知されにくくなっている。

 10メートルの水中でも作動し、待機状態で最大21日間バッテリーが持続。操作画面はシンプルで、極度のストレス下や完全な暗闇、飛行用手袋を着けた状態でも使用できるという。「イースターの奇跡」はいずれ映画化されそうだ。