トランプ大統領は14日、NBCニュースに、イランの主要石油積み出し拠点カーグ島(ハールク島)について「完全に破壊したが、面白半分であと数回攻撃するかもしれない」と述べた。イラン戦争で石油がキーポイントになる中、とうとう〝イランの宝石〟と呼ばれる島に手をつけた。さらに、米国はもう一つの政権転覆の狙いに手をつけているという。「イスラム革命防衛隊(IRGC)」を弱体化させ、イラン正規軍である「イラン・イスラム共和国軍(アルテシュ)」にクーデターを起こさせようというのだ。

 カーグ島は、ペルシャ湾のイラン沿岸から約25キロ沖に位置するサンゴ礁の島で、面積約20平方キロメートルながら、石油貯蔵タンク、積出港、パイプラインが集中し、イランの原油輸出の約90%を扱っている。英国シンクタンクはこの島を「イラン石油産業の王冠の宝石」と表現するほどだ。この島を壊滅すれば、イラン経済が数十年立ち直れないほどのダメージがあるとされる。

 米軍は12日にカーグ島の機雷貯蔵施設やミサイル貯蔵掩蔽壕などに対し大規模な〝精密攻撃〟を実施。トランプ氏は13日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルに、米軍が「イランの至宝であるカーグ島にあるすべての軍事目標を完全に破壊した」と投稿した。石油インフラは維持したという。

米軍が攻撃したイランのカーグ島(ロイター)
米軍が攻撃したイランのカーグ島(ロイター)

 この軍事目標は、IRGC海軍が関係する軍事施設が含まれる可能性が高い。IRGC弱体化は米国の戦略の一つだ。

 そもそもイランには、二つの軍隊がある。一つがIRGCで、兵力約15万人。1979年のイラン革命後に設立され、最高指導者に直接忠誠し、体制維持が目的だ。反体制デモの鎮圧などを行っている。また、ヒズボラなどの代理勢力と連携している。

 もう一つが正規軍といわれるアルテシュで、兵力約35万人。革命前の旧イラン帝国軍を継承する伝統的軍隊で、国境を守り本土防衛が任務。政治色は弱い。

 米国事情通は「米軍がこれまで攻撃してきたのはIRGCの司令部、情報機関、海軍など、IRGCにだけ集中しています。IRGCは最高指導者直属の神権体制の守護組織で、政権そのものです。また、ただの軍隊ではなく、石油利権などを持つ巨大な経済帝国で、イラン経済の40%を支配しているとみられます。IRGCを弱体化させると政権も弱体化するのです」と指摘する。

 一方、アルテシュを攻撃せずに温存するのは、イラン戦争後の治安維持を担わせ、国家崩壊を避けるためといわれる。2011年に「アラブの春」によるカダフィ政権崩壊後、内戦と無政府状態なり、国家崩壊に陥ったリビアのようにさせないためだ。

「IRGCが弱体化し、アルテシュが温存されれば、クーデターが起き、政権転覆の可能性があります。また、国内鎮圧を担当するIRGCが弱体化すれば、反体制派デモが全国で起き、それをアルテシュが支援するということもあり得ます」と同事情通。

 ハメネイ師が死亡しても、すぐにモジタバ師が最高指導者に就任し、イランは体制を維持している。米国そしてイスラエルは戦争での攻撃だけでなく、クーデターを狙った戦略を視野に入れているのかもしれない。