【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。京都にある東映太秦映画村が3月28日にリニューアルオープンします。18歳以下は参加できない夜限定のイベントを設けることが明らかになり注目を集めていますね。いわゆる18禁の企画では、江戸時代の拷問や丁半ばくちを体験できるとのこと。僕もぜひとも訪ねたいです!

 さて、そんなニュースに関連し、今週は東映が送る新作の傑作時代劇「木挽町のあだ討ち」(2月27日公開)を紹介します。

 映画は、作家・永井紗耶子さんの直木賞受賞作が原作。江戸・木挽町の芝居小屋「森田座」で起きた、あだ討ち事件の真相に迫っていく物語です。

 本作の最大の特徴は、物語が語りの構造になっているという点です。あだ討ちというのは時代劇の最も王道のテーマで、一番有名なのは忠臣蔵ですよね。そのほかにもたくさんのお話が紡がれてきましたが、今までのあだ討ちものは基本主人公か被害者目線だったんです。あだを討つまでのストーリーを楽しむ、討った瞬間のカタルシスを楽しむのがメインでした。

 ところが本作はひと味もふた味も違い、あだ討ちそのものではなく、あだ討ちを目撃した人間たちの証言により物語が展開するという新しい構成なんですよ。劇作家や、やじ馬、遺族。いろいろな人に話を聞いていくと全く新しい真実が明らかになってくる。時代劇の設定を借りた壮大な人間ドラマになっているんです。今までのあだ討ち=勧善懲悪という単純構造を壊した大どんでん返し型の時代劇でした。

 僕は本作に時代劇の進化を見ましたね。かつて時代劇はエンタメの主流でしたが、時代の流れとともに元気がなくなっているというのが現状です。そんな中で新たな時代劇を作ろうじゃないかと試み、たどり着いたのが本作なんじゃないかと感じました。殺陣よりも物語重視で、心理描写も細かく、群像劇の大どんでん返し。これらはまさに現代映画の特徴で、本作は「時代劇の皮をかぶった人間ドラマ」なんですよ。昔からやってる題材や作風を、見せ方を変えることで新鮮に見せる。これこそエンタメの神髄です。こうした技巧派な時代劇ドラマを東映が出したというところにも大きな意味があるなと感じました。

 映画村のリニューアルと本作の公開で、時代劇というジャンルがさらに盛り上がってくれたらうれしいですね!