【ニュースシネマパラダイス】有村昆です。外資系の大手生命保険会社・プルデンシャル生命の金銭不正受領問題が波紋を広げています。100人を超える社員が約500人の顧客から計約31億円をだまし取ったとされ、同社では解約と退職者が後を絶たないそうです。きちんと原因究明と対策を講じ、組織の健全化を図ってほしいですね。

 さて、保険会社の大規模な不正問題に関連し、今週は保険会社の女性社員と共謀し1100万ドルの宝石を狙う凄腕の強盗を主人公とした新作映画「クライム101」(2月13日公開)を紹介します。

 主人公のデーヴィスはアメリカ西海岸線を走るハイウェー101号を縄張りに、悪党のみを狙い完全犯罪の強盗を繰り返してきた。人生最大の大金を目当てに約16億円の宝石をターゲットにしたデーヴィスだったが、保険会社勤務のシャロンに共謀を持ちかけたことで、完璧に思われた作戦がほころびを見せ始める――というストーリーです。

 今作は、社会の裏側の闇深いつながりを描いた部分が面白かったです。宝石を狙うデーヴィスを警察がマークするんですが、実は警察も警察で上層部が犯罪組織側のトップとつながっていて、権力やお金のために暗躍し甘い汁をすすっているということが明らかになるんですね。

 強盗と警察によるクライムアクションといえば、「ヒート」という1995年公開の傑作映画があります。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが警察と強盗団で追いかけっこするんですけど、結局追う者も追われる者も同じ顔になっていくという恐ろしい映画なんです。今作も「ヒート」の系譜を受け継いでいて、デーヴィスを追う現場の警察官・ルーも警察上層部の闇に気付き怒りに震えるんです。不正を許さないルーがデーヴィスに加担するのかどうか、という点も見どころです。何をもって正義とし、何をもって悪とするのか。正義と悪のあいまいな境界線について語りかける映画だと感じました。

 人は甘い汁を吸えている間は、なかなかそこから抜け出せないものです。それが組織の上層部であったり、組織内で蔓延しているとなおさら歯止めが利かないものだと感じました。プルデンシャル生命は今回の一件を重く受け止め、社内の膿(うみ)を出し切ることが必要になりますね。ただのクライムアクション・サスペンスにとどまらず、社会の構造、組織の構造について考えさせられる映画でした。