メキシコの麻薬王が殺害されたことで急速に治安が悪化している。

 同国最大級の麻薬組織「ハリスコ新世代カルテル」(CJNG)のリーダーのネメシオ・オセゲラ容疑者がメキシコ軍による拘束作戦中に死亡したのは22日のこと。「エル・メンチョ」の通称で知られるオセゲラ容疑者は元警察官で、米国へのコカインやフェンタニルの密輸に関与し、CJNGは勢力を急拡大させた。トランプ政権が昨年2月に外国テロ組織に指定し、1500万ドル(約23億円)の懸賞金をかけて行方を追っていた。

 オセゲラ容疑者は作戦中に重傷を負い、メキシコシティへの搬送中に死亡したという。同容疑者の死亡後、放火や襲撃などカルテル側の報復が相次いでいる。メキシコ政府は23日、これまでに市民1人と国家警備隊の隊員ら28人が死亡し、カルテル側も30人が死亡したと発表した。

 また、地元当局の24日の発表によると、武装集団が刑務所施設を襲撃し、門を破壊。看守1人が死亡し、囚人23人が脱走したという。6月に開幕するサッカーW杯北中米大会も控えており、治安の不安は高まるばかりだ。オセゲラ容疑者拘束作戦後にメキシコ政府はカルテル側からロケットランチャーや装甲車両などの高性能兵器を押収。カルテル側は、過去に政府の軍用ヘリを撃墜したこともある。

 メキシコ事情に詳しい関係者はさらなる混乱を予想する。

「市民に恐怖を植え付けるために暴力による威かく行為は続くでしょう。リーダーを失ったことで、他のグループとの抗争、また内部での覇権争いが起きることも予想される」と話す。さらに内部抗争が激化した場合には「グループが小さな組織へと枝分かれしていき、全容をつかむのが難しくなる可能性もある」と指摘した。

 メキシコはいったいどうなるのだろうか。