【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。大みそかにさいたまスーパーアリーナで、総合格闘技の一大イベント「RIZIN師走の超強者祭り」が行われ、約4万5000人の観客が熱狂しました。日々の練習で鍛え上げた技や肉体、一瞬の駆け引きは見る者を熱くさせますね!

 さて、そんなニュースに関連し、今週は体を鍛えることに心血を注ぐ男の夢と狂気を描いた昨年12月公開の映画「ボディビルダー」を紹介します。

 本作は一流のボディビルダーになることを夢見る田舎の青年が主人公。過酷なトレーニングに加え、厳しい食事制限を行うなど夢にすべてをささげた青年が、社会の不条理と孤立から狂気にのまれていくというストーリーです。

 この映画は言わずもがな筋肉がポイント。たくましい筋肉を作り上げ鎧のような肉体を手に入れようとすればするほど、その鎧の内側はボロボロになっていくという対比にしびれました。何かの世界でストイックに1位を取るというのは、まじめで努力家というだけでは足りない。すべての意識がその一点に集中するほどの熱中が必要になると思うんですが、それは普通の人からするとずれた価値観だったりもするんですよね。大成すれば周囲も認めてくれますが、うまくいかないとただの変わった人で終わってしまうこともある。情熱と現実の残酷な描写に恐ろしいほどのリアルさを感じました。

 そして、そんなメッセージを主演俳優が体現してしまったことがなんとも皮肉。主演のジョナサン・メジャースは今作のためにプロ顔負けのトレーニングで最高の肉体と演技を見せたのですが、映画の正式な公開前に暴行事件を起こし有罪判決を受けてしまうんです。作品の魅力であるリアルな苦悩を現実の制作過程で再現してしまった。この事件が作品の魅力であるリアルさを底上げしてしまった点がなんとも心苦しいですね…。

 この事件がなかったらアカデミー賞ノミネート確実とも言われていた快作です。暴力は決して許されるものではありません。しかし、ひとりの映画好きとして素晴らしい作品だと感じたので紹介させていただきました。ぜひ劇場でご覧ください。