奈良県は京都に並ぶ日本有数の古都です。その輝かしい伝統と、温暖な環境に恵まれたせいか、県民性は「奈良の寝倒れ」といわれるほど、のんびりと優雅な気質のようです。

 奈良県人というのは、イメージとして古の貴人であり、歴史に裏打ちされた品の良さがあると同時に、どこか時代離れした雰囲気も感じさせます。

 大きな仕事の場面で華々しく活躍して注目を浴びる半面、普段の生活では意外に淡泊なところがあって、チャンスがあるのにチャレンジしなかったり、簡単なミスをする…といった感じです。周囲が残念がっても、まるで人ごとのように、「ああ、そうですか」で済ませてしまうようなのんびり屋でもあります。

 性格的に温和で優しい点は、人に好かれます。また、奈良県という歴史的な土地柄から、他県の人も修学旅行などで一度は訪れていることもあって、初対面でも話題に事欠かないという“地の利”があります。

 ただ、他力本願的な気質で、自分から進んで問題を解決しようという気持ちがありません。これはおそらく、相手のことを考えてしまうからでしょう。そんな優しさが、「まあいいか」になってしまうようです。

 奈良県人と付き合うなら、ある程度の覚悟が必要です。「必死に耐える」「懸命に頑張る」ということとは無縁で、「なるようにしかならない」と諦めてしまうので、結局は周囲の者がフォローさせられるからです。

 ただし、他力本願的ではあれ、相手に結論を導き出させる手腕を持っています。自分から強圧的に「こうしなさい」とは言わない代わりに、自分の期待する結論に、いつの間にか導いてしまうのです。

 ◆平川陽一 早稲田大学卒。主に歴史ミステリーの分野で活躍。著書に「世界遺産・封印されたミステリー」「戦争で読む日本の歴史地図」「日本列島 名城の謎」などがある。