安倍晋三元首相銃撃事件で殺人罪などで起訴された山上徹也被告(45)の初公判が28日、奈良地裁で開かれる。
山上被告は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者である母親が教団に多額の献金をし、家庭が崩壊した恨みがあったと供述。旧統一教会問題に再び光りを当てた。全国統一教会被害対策弁護団副団長の紀藤正樹弁護士が裁判の行方を解説した。
起訴状などによると、山上被告は2022年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説を行っていた安倍元首相を、手製のパイプ銃で至近距離から銃撃して殺害した。
山上被告は事件直後から安倍氏を殺害したことを認めており、初公判で殺人罪や刑事責任能力については争わない見通しだ。しかし、事件発生から初公判まで3年以上の時間を要した。公判前整理手続に時間がかかった理由について、紀藤氏は「検察は銃撃事件と教団の問題を区別したいと考えている。検察側が当初から全容解明の裁判を求めたら、こんなに時間がかからなかったと思う」と指摘する。一方の山上被告の弁護側は、事件の背景に教団の影響があったことを主張していく。
裁判の争点となるのは、大まかに発射罪と量刑の2つ。発射罪に問われているが、事件当時の銃刀法では拳銃等の要件を満たさない自作銃などは発射罪の適用対象外。要件を満たしていないため発射罪は成立せず、無罪を主張するとみられる。
量刑の判断に必要なのが山上被告の背景事情。弁護側は同被告の母親や宗教学者ら5人の証人尋問を請求したが、検察側は「宗教論争の場ではない」と反発。しかし、裁判所は5人全員を採用した。
紀藤氏は「検察の意図は不合理。重要なのは次の山上事件を防ぐこと。単純な殺人罪で立件することになれば、再発防止の前提事情は世間に提示されない。国民の損失につながる」と危惧。一方の裁判所の判断に対しては「裁判で山上被告が置かれた状況、犯行動機を明らかにすることで、事件の全容が解明されることを多くの人が期待している。証人を全員採用しているので、裁判官もそう思っている」と評価した。
山上被告の口から何が語られるのか。注目の裁判が始まる。












