東京地裁は25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する文部科学省の解散命令請求で、宗教法人法に基づき教団に解散を命じた。今後、教団はどうなるのか。長年、旧統一教会問題の取材を続けているジャーナリストの鈴木エイト氏に聞いた。

 東京地裁は旧統一教会による献金被害について「類例のない膨大な被害が出た」とし、被害は最近まで続いており、解散命令はやむを得ないと結論付けた。「法令違反」を理由にした解散命令の決定はオウム真理教などに続き3件目。民法の不法行為を根拠としたのは初めてとなる。

 これに対し、旧統一教会は公式サイトで「今回の判決内容を重く受け止めつつ、東京高裁への即時抗告を検討していく所存」「誤った法解釈に基づいて出された結果であると言わざるを得ず、当法人としては到底、承服できるものではありません」などと声明を発表し、徹底抗戦の構えだ。

 22年間にわたって旧統一教会問題を取材してきたエイト氏は「司法が出された証拠から適切に判断をしてくれたことを高く評価しています」と話した。

 エイト氏が評価したのは判決要旨だ。「教団に対して厳しい指摘をしている。(2009年の)コンプライアンス宣言が形骸的なものであったこと、被害が最近まで続いていたこと。継続性、組織性、悪質性をかなり意識した要旨になっている」と説明した。

 解散命令は教団にどのような影響を与えるのか。エイト氏は「献金集めに関しては非課税ではなくなるので今後、存続するであろう宗教団体の代表者が所得税を払わないといけなくなる。これまでのように何百億円も集めて、それをどんどん韓国に送るみたいなことはできなくなる」と指摘した。

 旧統一教会が宗教法人でなくなると、国の監視の目が届かなくなるという不安の声もある。エイト氏は「脱税的な行為も当然出てくる。税務署とかのチェックも入り得る。逆に税金面からのチェックなども入るので、その指摘は当たらない」と否定した。

 一方で「教団が今後、清算対象になる不動産を処分してしまわないか。財産を関連団体、海外に動かさないか。そういう点はチェックしていかないといけない。社会で監視をしていかないと実行力のある被害者の救済にはつながらない」と厳しい目を向けた。

 旧統一教会が改めて浮き彫りとなったのは、2022年の安倍晋三元首相銃撃事件だ。殺人などの罪に問われている山上徹也被告は、教団に入信した母親が多額の献金をしたことで生活が困窮したと説明。教団と関わりがある安倍元首相を撃ったと供述している。これを機に教団とつながりのある国会議員の名前が次々と挙がり、政界にも波及した。

 山上被告を正当化する声まで上がる中、エイト氏は「山上の事件をきっかけに解散命令になったんだみたいな乱暴な議論が進んでしまうことを危惧しています。決してそうではない。早く是正されないといけない問題がなされてこなかった。被害者を放置したことによって(銃撃)事件まで起きた。そこに関して変な世論を唱える人が出てきている。そういう空気を潰していかなといけない」と言葉に力を込めた。