過日、間もなく90歳になる母がスーパーの駐車場で転倒した。その瞬間、骨折&入院を覚悟したが、無傷でスックと立ち上がった。頭を打った様子もなく、元気そのもの。実のところ母は、朝からヒレステーキを平らげ、焼き肉も200グラムをぺろりと食べる「肉食シニア」。今回の一件で、肉の底力を実感した。
ドクターによると、「年齢を重ねた酒飲みほど、肉を積極的に摂ったほうがいい」とのこと。なぜなら、酒には筋肉の合成を妨げ、分解を促進させる作用があるからだ。実際、人間を対象にした研究で、運動後にアルコールを摂取すると筋肉をつくる働きが約37%も低下することが報告されている。さらに日本の疫学調査では、1日60グラム以上の飲酒を続ける人は筋力が衰える「サルコペニア」のリスクが有意に高いというデータも。
また、酒は骨にとっても、あまりよろしくない。カルシウムの吸収を阻害し、骨を作る細胞の働きを低下させてしまうという。つまり酒は筋肉と骨というカラダを支える2つの要所を、同時に痛めつけてしまうのだ。
そこで頼りになるのが肉だ。肉に含まれる必須アミノ酸は筋肉の材料になり、加齢や飲酒で落ちやすい筋量を支える。特に鶏肉は筋肉の合成を助けるビタミンB6が豊富で、飲酒習慣のある人に心強い。牛の赤身肉は鉄と亜鉛を多く含む。これらは骨の形成や強度維持に欠かせない栄養素だ。そう、肉は「酒に奪われやすい筋肉と骨を守る最強の味方」なのである。将来、筋力の低下によって寝たきりにならないためにも。飲む時こそ、そして普段から肉を食べるようにしよう。日々の小さな積み重ねが、酒で低下しやすい筋量と骨量を補い、転倒や骨折を防ぐ力となる。
さて、肉食高齢女子の母のその後だが、相変わらず肉をせっせと食べている。転倒後、父の仏壇に「守ってくれてありがとう」と手を合わせていたが、彼女を支えたのは父ではなく、紛れもなく「肉神様」だと思う。












