ドジャースの大谷翔平投手(31)は27日(日本時間28日)に本拠地ロサンゼルスでのレッズ戦に「1番・投手兼DH」で先発し、5回を2安打1失点、9三振と好投。エンゼルス時代の2023年8月9日以来、749日ぶり、2度目の右ヒジ手術から復帰後初勝利を挙げた。同時に移籍2年目でドジャース初白星だ。注目は最多の23球を投げたカーブ。バットに当たったのはファウルを含めて2球だけで新たな魔球の予感だ。さらに新たな期待も…。ピッチングニンジャの異名で知られるMLB公認投球アナリストのロブ・フリードマン氏に解析してもらった。

 圧巻の投球だった。復帰後最多の87球を投げ、9三振を奪った。2回にK・ヘイズから空振り三振を奪った最速100・3マイル(約161・4キロ)のフォーシームはホームベース手前で浮き上がり、バットはボールの下を通過した。

 最多の23球(26%)投げたカーブはいずれも空振りで4三振を奪った。ストライク12球だったが、バットに当たったのは内野ゴロ1、ファウル1の2球だけ。空振り4、「ストライク」のコールが6とレッズ打線は手も足も出なかった。

 フリードマン氏は「ずっとショウヘイを見てきたけど、昨日のカーブは今までで一番よかった。まるで新しい武器を発明したみたいだった。本当に驚きなのは、あれが彼のカーブの“まったく新しいバージョン”だったこと。普段はもっと山なりで遅いカーブを投げるのに、昨日は80マイル台(約132キロ前後)が何球もあった」と驚く。

 カーブの最速は84マイル(約135・2キロ)。平均球速79・7マイル(約128・3キロ)は今季平均の78・5マイル(約126・3キロ)を1・2マイル(約2キロ)上回る“高速カーブ”、これぞ新魔球だ。

 大谷がカーブを解禁したのは8度目の先発となった6日(同7日)のカージナルス戦。初勝利後の会見で「カーブ、スプリットっていうのは一番最後の段階」と説明。リハビリは終了で、完全復活を意味する。

 また、今季初めて右打者にスプリットを投げた。フリードマン氏は「昨日のスプリットのコマンドはそこまで完璧じゃなかったと思う。右打者に投げた6球のうち5球はボールだった。でも他の球は全部完璧だった」と指摘。右打者に投げない理由を「多くの投手がチェンジアップを同じ利き腕の打者に投げたがらないのと同じ。内側に食い込むから、打者に当てるリスクがある。頭の中では、打者から遠ざかる変化をする球のほうが投げやすいんだ。スイーパー、スライダー、カーブなど」と説明した。

 フォーシームの平均球速98・2マイル(約158キロ)は23年の96・8マイル(約155・8キロ)よりアップし、最多回転数2751はメジャーでもトップクラス。伸びとキレが増し、より空振りを奪えるようになった。

 さらにフリードマン氏いわく、大谷は「打者を支配できるすさまじいスイーパー」「リーグ屈指のスプリット」「(ドジャースの)ブレーク・トライネンをほうふつさせるすごいシンカー」を持っている。そこに新魔球の高速カーブが加わるとなれば、鬼に金棒。来季以降はサイ・ヤング賞の有力候補になるだろう。

 同氏は「彼のボールはサイ・ヤング賞級で、野球界の誰と比べても遜色ない、むしろそれ以上かもしれない」と絶賛するも「(サイ・ヤング賞は)イニング数がネックになると思う。イニング数は、その投手がチームにどれだけ貢献しているか、全体的にどれだけ価値があるかを示す指標でもあるからね」と壁を指摘した。

 投球回数が少ない場合の獲得条件は防御率と三振数でライバルをかなり上回る必要があるとし、「それは不可能じゃないけど、大きなチャレンジになるだろう」と強調した。投手として完全復活した大谷。来季は投打二刀流で無双の予感だ。