ドナルド・トランプ氏が2日に世界185の国と地域に対する相互関税を発表した。税率は、日本が24%、中国が32%、欧州連合が20%などとなっており、9日に発効する。この発表後、米国株式市場は急落し、ダウ工業株30種平均は9・2%、ハイテク株中心のナスダックは11・4%下落した。

 経済的な影響にもかかわらず、トランプ氏は毅然とした態度を崩していない。自身のSNSトゥルース・ソーシャルに5日、「これは経済革命であり、われわれは勝利する。頑張ってくれ。容易なことではないが、最終結果は歴史的なものとなるだろう」と投稿した。

 そんな中、トランプ氏が右腕として重用してきたイーロン・マスク氏が決別するとみられている。

 もともとマスク氏は年間130日以内の任期で雇われていた〝特別政府職員〟としてDOGEを率いてきて、5月下旬に任期切れとなる。しかし、2人の間で関税について決定的な意見の対立があったという。

 マスク氏は5日、イタリアのマッテオ・サルヴィーニ副首相とのバーチャル会議で「私の見解では、欧州と米国が理想的にはゼロ関税の状況に移行し、事実上欧州と北米の間に〝自由貿易圏〟が創設されるという合意が得られることを期待している。また、人々が望むなら欧州と北米の間をもっと自由に移動できるようになり、欧州や米国で働きたいならそうすることが認められるべきだというのが私の考えだ。だから、それが大統領に対する私のアドバイスだった」と語った。

 トランプ氏が世界を相手に大幅な関税を課すと主張する一方で、マスク氏は欧州と関税ゼロを望んでいるというのだ。

 米国事情通は「マスク氏の発言はホワイトハウスへの決別だと見られています。これまでもマスク氏はトランプ氏の面前でマルコ・ルビオ国務長官と口論したり、各省庁に根回しせずにいきなり人員削減を発表したりしてきました。調整能力、報告、連絡、相談の欠如はホワイトハウス中を困惑させてきたようです。それでも相変わらずトランプ氏はマスク氏のファンのようですが関税では意見が合わず、政界の関係としては決別するといわれています」と語る。

 また、関税に関して、テスラの主要サプライヤーはメキシコと中国にあるため、同社はトランプ氏の自動車関税の対象となる。

「3月下旬に国防総省で機密性の高い対中戦争の説明がある際、マスク氏が事前の通知なく、参加しようとしました。トランプ氏はこれに激怒し、テスラが中国で売り上げを伸ばし存在感を高める中、マスク氏の存在は利益相反になるということで決別を決めたとされています。トランプ氏にとって、最大の脅威であり、最大の敵はロシアではなく、中国です。経済での覇権こそトランプ氏の最重要課題ですから。それでも、マスク氏がホワイトハウスを退いても、トランプ氏はビジネス仲間として、定期的にマスク氏と会うと思います」(同)。

 これから先、何が起きるか不透明だ。