【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#611】米国の中部大西洋岸にある国内最大の入り江と言われるチェサピーク湾と、その湾につながるポトマック川。そこでは、過去に謎の生物が多数目撃されている。その生物は、目撃が集中しているチェサピーク湾と、ネス湖の怪物・ネッシーのインスピレーションから、「チェシー」という名で呼ばれるようになった。
体長は、7・6~12メートルにおよび、体を左右に揺らして水中を泳ぐという。背中にはギザギザとした突起が備わっており、また脚が確認されないことから巨大な爬虫類、蛇のような姿ではないかと考えられている。
チェシーの古い例としては1943年、フランシス・クラルマンとエドワード・J・ウォードの2人がボートに乗って湾でバス釣りをしていたところ、水面に浮かぶサッカーボールほどの大きさの何かを発見した。よく見ると、それは全身が黒く、3メートルほどの体長で、馬のような頭の形をしていたという。
その後、70年代に入ると、湾に流れ込むポトマック川でも謎の怪物は目撃されるようになり、1980年にはトゥルーディ・ガスリーという人物によって写真も撮影された。しかし、その写真に写った生物は結局のところ、マナティだったようである。
実は、もともとこのマナティの愛称として呼ばれていたのがチェシーという名前だった。これ以来、チェサピーク湾で目撃される謎の生物を指す名前として、チェシーが定着したようだ。
とはいえ、目撃情報そのものはその後も続いており、1982年にはロバート・フリューとカレン・フリューによって映像が撮影された。その映像には、茶色がかった蛇のような奇妙な生物が左右に揺れながら泳いでいる姿が捉えられていた。
体長10メートル、白い斑点や複数のコブも見えたという証言とともに、映像はスミソニアン協会で20人ほどの学者たちによって鑑定も行われた。それによると、水面で呼吸をしているように見えるという指摘から、爬虫類というよりはむしろカワウソなどのような哺乳類ではないかとの見解があったようだ。
だが、70~80年代に多く目撃されたチェシーは、1997年に湾の近くにあるフォートスモールウッド州立公園の海岸沖で目撃されたのを最後に、現在ではすっかり鳴りを潜めてしまっている。
チェシーの正体についてはさまざま唱えられており、ハッキリとしたことは分かっていない。一説では、その昔、南米の大蛇ボアを数匹積んだ船がこの近辺で沈没してしまい、そこで逃れて繁殖したボアがチェシーの正体ではないかとも言われている。
この他にも、チェシーの目撃時期が回遊魚が湾にやって来る周期と一致するということから、それを求める海生爬虫類のモササウルスではないかとの説まであるようだ。
そもそも、湾の性質上海からの出入りが自由ということもあり、やはり先のマナティのような生物が偶然に湾へ入り込んだものではないかという意見もあるかもしれない。
一方で、チェシーの特徴である「体を左右に揺らして泳ぐ」という性質はマナティにはないという。このことから、マナティとも異なる何かしらの巨大生物が、確かに現れていたということは事実のようだ。












