ボクシングのWBC世界フライ級王者・寺地拳四朗(33=BMB)が3日、都内でWBA同級王者ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)との2団体王座統一戦(13日、東京・両国国技館)へ向けた公開練習を行った。拳四朗は、2月28日に死去したプロレスラーで東京・文京区議会議員の西村修さん(享年53)と親交があった。試合への最終調整の時期ながらも、試合の前に行われる葬儀に出席する意向で、天国にささげる王座統一を誓った。
がんとの闘病の末にこの世を去った西村さんは、恩人と言える人だった。2020年7月、泥酔してマンション敷地内に侵入し、他人の自動車を破損するという不祥事を起こした拳四朗。JBCからは資格停止と制裁金に加え、社会貢献活動も義務付けられ、西村さんの地元・文京区の吹上稲荷神社の掃除などを行った。
一時は引退も考えたどん底の時に手を差し伸べてくれた西村さんには「僕がしんどい時に手伝ってくれはった。すごくお世話になったし、いい方でした。やさしくて」と感謝している。また、玄米菜食など食の改善を政策にしていた西村さんから食事のアドバイスをしてもらったこともあり「結構こだわりを持ってはる方でした」と振り返った。
西村さんがSNSにジム通いの様子などを掲載しているのを見ており「元気かなと思っていたんですけど、突然でびっくりです。まだ若いのに」と早すぎる死はショックだった。それでも「すごいですよね、がんになっても筋トレするって。最後までレスラーやなと思いました」と、その精神に感銘を受けている。最終調整に入る大事な時期だが、今週に行われる葬儀には「行こうと思っています」と最後の別れに駆けつける考え。さらには「勝ってお参りしたいです」と誓った。
備えは万全だ。この日は2回のシャドーボクシングと1回のサンドバッグ打ちを行い、軽快な動きを披露して仕上がりの良さをうかがわせた。1階級上げて、今回が2戦目。減量が緩和されたことで「自信満々で練習しています」と胸を張る。
前に出て圧力をかけ、右ストレートなどを突き刺していく強打者の阿久井については「ずっとプレッシャーをかけられるのは相手のペースになるので、それだけは避けたい」と警戒。自身は距離を支配する戦いに定評があるものの、近年は激闘が目立つことに「激闘はしたくないですよね。なるべく打たれないようにはしたい」と苦笑する。
それでも「12ラウンドを戦うのも想定には入れている。圧倒するのはもちろんですけど、いい勝ち方できれば盛り上がるし、圧倒的に僕が一番強いなと思わせたい」と、フライ級最強をアピールすることに意気込みを示した。
どん底からはい上がった男が、天国に恩返しの白星を届ける。
【拳四朗の力になりたい】拳四朗は西村さんとかねて親交があり、21年3月には西村さんの母校、錦城学園高(東京)でともに講演会を行った。
当時、泥酔不祥事による日本ボクシングコミッション(JBC)からのライセンス停止処分が明けて復帰を目指していた拳四朗を、西村さんが陰でサポート。吹上稲荷神社や護国寺の掃除など拳四朗が行った文京区内の社会貢献活動は、文京区議会議員だった西村さんが手配したという。
講演会も自ら連絡をとり、取材を依頼してきたほどだ。西村さんはその際に「拳四朗の力になりたい」と強調。拳四朗の今後に大きな期待をかけていた。














