日本の経済規模を維持するためには日本食とアニメの二刀流が不可欠!? 流通ウォッチャーの渡辺広明氏(57)がこのほど、米国ロサンゼルスを訪れ現地の小売業を徹底的に視察。「すし、天ぷら、富士山」が「すし、大谷翔平、アニメ」に変化したことをキャッチした。LAがカギを握るわけとは――。

大谷翔平壁画があるのはロサンゼルスのここ!
大谷翔平壁画があるのはロサンゼルスのここ!

 MLB公式サイトは昨年10月、「大谷ランドに変わったLAかいわいを訪ねる」というニュースを報じた。

 昨年3月、ミヤコホテルに大谷翔平の巨大壁画「LAライジング」を完成させたアーティストのロバート・バーガス氏は同記事で「リトル・トーキョーの“顔”を与えたといっていいでしょう」と語り、ロサンゼルス観光局のアダム・バークCEOは2024年の日本人観光客が激増したことについて「大谷効果と呼べる」と断言した。

バーバンクのStarz Liquorに描かれた大谷翔平の壁画
バーバンクのStarz Liquorに描かれた大谷翔平の壁画

 ところが、米国の個人消費の調査と流通を視察する目的で今年1月に渡米した渡辺広明氏は“違う”盛り上がりに驚いた。

「LAではマルカイという会社が1965年に日系スーパーをオープンさせ長く親しまれてきました。13年にこれをドンキ(現在のPPIH)が買収し『TOKYO CENTRAL』というお店に業態転換したんですね。すしや大福など日本食がどれくらい人気なのかを確認できればと私はリトル・トーキョーを訪問したんですが、白人、黒人、アジア系と人種もさまざまで祭りのような人出で道路は路上駐車だらけ。まさかアニメショップに入場制限がかかるほどとは…(苦笑)」

 渡辺氏が列に並ぶ現地オタクに質問を投げかけたところ、「オオタニがドジャースに来る前からリトル・トーキョーはオタクの聖地だった。全米のオタクがここに来ることを夢見ている!」。好きなアニメは世代によっても異なるが、「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」が米国のオタクから一般層にアニメブームを押し広げたという。もはやリトル秋葉原である。

ホビーショップに並ぶオタクたち(渡辺氏提供)
ホビーショップに並ぶオタクたち(渡辺氏提供)

 肝心の日系スーパー「TOKYO CENTRAL」はどうだったのか?

「デリカとすしが売れ筋とのことです。生ウニも並んでいて、ほぼドンキと言っても過言ではありません。私の地元である浜松のクラウンメロンも箱入りで販売されており、日本のブランド農産物の輸出が進んでいることを目の当たりにしました」(渡辺氏)

想像以上にドンキなTOKYO CENTRAL(渡辺氏提供)
想像以上にドンキなTOKYO CENTRAL(渡辺氏提供)

 ダウンタウンにあるリトル・トーキョーから車で西に向かうこと約20分。約20キロ離れたソウテル地区も20世紀初頭から日本人との関わりが深い場所でリトル大阪とも呼ばれるが、こちらはラーメンや日本食の激戦区となっている。

「日本でも人気の『つじ田』、大阪発祥の回転ずし『くら寿司』、讃岐うどんでおなじみの『丸亀製麺』、カレーの『CoCo壱番屋』など日本でもおなじみのファストフードが食べられるとして若者の聖地になっているようです」

 とはいえ、物価高の米国だけにその価格はぎょっとするレベル。渡辺氏が丸亀製麺で食べた肉玉うどんは12・55ドル、餃子は4・5ドル、鶏天2・85ドル、ドリンク3・5ドルで税込み合計25・62ドル、チップ3・84ドルが加わり総計で29・46ドル。日本円に換算すると4463円にもなった。

丸亀製麺はこれで約4500円(渡辺氏提供)
丸亀製麺はこれで約4500円(渡辺氏提供)

 米国の消費者物価は日本の約1・2倍で、かつ外食費は2倍近いこともある。100円ショップとして知られるダイソーも1・75ドル(265円)~15・25ドル(2310円)と13ラインに価格帯を区別している。「全然安くないじゃないか…」とボヤキたくなるが、渡辺氏は「現地の人は日本製だと思っている人も少なくないが、ダイソーの商品の多くが中国で生産したものであり、トランプ大統領が対中関税を引き上げれば今の価格は維持できないでしょう」と値上げも視野にあるという。

 すべてが海の向こうの話に聞こえるかもしれないが、渡辺氏は日本の商品やサービスが海外で売れることは重要だと強調する。

「人口減の日本が現在の経済規模を維持するためには商品やサービスを海外に輸出していくことが不可欠。民間最終消費支出(=家計による消費財への支払い)は中国の6・9兆ドルに対して米国は18・8兆ドルとまだまだ断トツなわけで、アニメと食文化の二刀流でロスから全米へと日本文化ブームが広がっていくことを期待したいですね」

ロサンゼルスのダイソーは価格帯が豊富(渡辺氏提供)
ロサンゼルスのダイソーは価格帯が豊富(渡辺氏提供)

☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「Live News α」コメンテーター。Tokyofm「ビジトピ」パーソナリティー。